mixiユーザー(id:6810959)

2023年05月05日21:20

82 view

映画日記『波の塔』

昨日は岐阜の金華山に登る前に、映画を1本見てきた。

2023年5月4日(木)

『波の塔』(1960年)
監督:中村登
岐阜柳ヶ瀬・ロイヤル劇場

運命のいたずらで会ってはならない男と女が出会い、愛してはいけないのに愛し合ってしまった。
男は若き検事・小野木(津川雅彦)、女は人妻の頼子(有馬稲子)。
よりによって、頼子の夫・結城(南原宏治)は政界の裏で暗躍する利権ブローカーだった。
そして、夫が絡む汚職事件を小野木が担当することになり・・・・

コテコテでベタベタな悲恋メロドラマ、しかもツッコミどころ満載、それなのに見始めたら面白くって止まらない。
原作が松本清張なので、メロドラマの中にミステリーの要素が含まれる、
その探偵役が、いわば悪役にあたるヒロイン頼子の夫・結城というのが妙味。
結城は妻と小野木の密会をあばくため、アリバイ崩しに挑むという趣向だ。
そして、本作いちばんのドンデン返しが、誰も目にも陰湿な悪党である結城が、妻を心底愛していたというところ。
悪党の哀れ、私なんかが物語に酔うのはこういうところだ。
この複雑な役を南原宏治が好演、ちなみにネットで検索したら和田勉演出のテレビ版では、この役を山崎努が演じている。
有馬稲子の湿った色気にくらくらする。
隠れた逸品。

以下ネタバレあり。
私はまったく知らなかったが、松本清張が書いた「波の塔」がきっかけで、多くの悩み多き女性がヒロインの頼子をまね、富士山麓の樹海へ分け入ったという。
つまり、青木ヶ原の樹海が自殺の名所となったのは、「波の塔」によるらしい。
これには、へえーだった。



7 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2023年05月>
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031