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2022年12月14日23:52

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映画日記『あちらにいる鬼』

2022年12月14日(水)

『あちらにいる鬼』(2022年)
監督:廣木隆一
名駅・ミッドランドスクエアシネマ

廣木隆一月間の3本目。
これがいちばん面白かった。
井上光晴と瀬戸内寂聴をモデルとした、小説家同士の不倫と、男の妻との三角関係を描く。
男女の機微にはうといので、どうのこうの言う資格はないが、ぐだぐだした男と女の腐れ縁が『浮雲』(1955)みたい。いわば日本映画の伝統芸だ。
いつもは「映画とは女優を見るもの」という主義だが、本作に関しては小説家の男を演じた豊川悦司がサイコーだった。
初めて出向いた女性の部屋で、靴下を脱ぐシーンがめちゃめちゃおかしい。
あの足は絶対蒸れて臭っていたはず。
彼のように艶聞が途切れない男になるには、すぐに靴下を、さらにはすぐにパンツまでも脱いでしまうぐらいの図々しさが必要みたいだ。
なるほど、そういうことか!!と、とても勉強になったが、時すでに遅しだった。
タイトルの『あちらにいる鬼』というのは、素直に考えれば不倫相手の小説家の女ということになるが、どっこい小説家の妻もなかなかのもの。
あちらにいる鬼よりも、こちらにいる鬼のほうが、ひょっとしたら数倍おっかないかも。
ほんとうに剃髪してしまう寺島しのぶも力が入ってるなあとおもったが、妻役の広末涼子も複雑な役柄をよくこなしていたと感心した。
映画の中盤で作家の女が「青春は、恋と革命よ」と若い活動家カップルにエールを送るシーンが出てきた。
作家の男は、自決した三島由紀夫を徹底して批判する。
ピント外れかもしれないが、このあたりの心情が、映画の核のようにおもえた。




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