2020年10月5日(月)
『シェルブールの雨傘』(1966年)
監督:ジャック・ドゥミ
駅西・シネマスコーレ
大、大、大好きな映画。
何度見ても泣けるぜ!!
ところで、何度でも見てきたおかげで、今回「えっ?!」となる発見があった。
それはカトリーヌ・ドヌーヴ扮する傘屋の娘・ジュヌヴィエーヴに求婚する気障な口ひげを生やした宝石商のカサール氏が、自分の過去を話すシーンだった。
カサール氏は、
「自分はかつてローラという女に恋し、痛い失恋をしたあげく、世界の果てまで旅をした過去がある」
といったセリフを言う。
えっ、ローラ????
ローラといえば、本作と同じジャック・ドゥミ監督の『ローラ』(1960年)で、アヌーク・エーメが扮していたヒロインの名前だ。
そういえば、カサール氏役の男優を『ローラ』で見たような気がする。
もしやとおもい、自宅に戻ってネットでを検索してみた。
まず、カサール氏役はマルク・ミシェルという名の男優だった。
続いて、マルク・ミシェルの出演作を検索した。
すると、そこには『ローラ』があるではないか。
しかも、『ローラ』での彼の役名がローラン・カサールとある。
つまり、『ローラ』で港町の踊り子・ローラに振られた若き日のローラン・カサールが、世界中を放浪したのちに、リッチな宝石商となって、『シェルブールの雨傘』に登場したことなる。
いやあ、びっくりだった。
ところが、大喜びもつかの間、どうもヘンだ。
なにかというと、1950年代後半のアルジェリア戦争を背景とした『シェルブールの雨傘』と、1960年頃が舞台の『ローラ』とでは、時期がずれてる。
『シェルブールの雨傘』に登場するカサール氏の青年時代が、1950年頃でなくてはつじつまが合わない。
ということで、遊びごころで「ローラン・カサール」というキャラクターを、同じ男優を使って、ふたつの映画に登場させたということが真相だろう。
きっとトリビア好きなコアな映画ファンの間では有名な話だろうが、こういう発見があるとうれしくなる。
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