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2019年12月18日22:50

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映画日記 『薄桜記』 『洲崎パラダイス 赤信号』ほか

1泊2日の大阪遠征。
初日は『切られ与三郎』に続いて3本。
2日目は4本、計8本見ることができた。


2019年12月16日(月)

『薄桜記』(1960年)
監督:森一生
大阪九条・シネ・ヌーヴォ

見るのは二度目。いわゆる忠臣蔵外伝。
五味康佑の原作がよいのだろうが、格調高い悲劇で、かつクライマックスの殺陣がその悲劇性を高める。
もう、時代劇映画の古典だ。
雷蔵と勝新の本格的な共演というのは珍しいとおもう。


『娘はかく抗議する』(1952年)
監督:川島雄三
大阪九条・シネ・ヌーヴォ

『娘はかく抗議する』という本題の前に“続 乙女の性典”とある。
なにしろ性典だ。若い女優さんがセーラー服を脱いでシミーズ姿になるシーンに、当時の映画館でどよめきが起きたことだろう。
“続”とあるのだから、前作があるはずとネットで検索したら、たしかにあった。
『乙女の性典』は1950年に大庭秀雄が監督していた。
おどろいたことに、出演者に佐田啓二と月丘夢路の名がある。
さらに、大庭、佐田、月丘のトリオで『新妻の性典』というのを同年に撮っていた。
黄金期とよばれた1950年代の日本映画は、ほんとうに奥が深い。


『あした来る人』(1955年)
監督:川島雄三
大阪九条・シネ・ヌーヴォ

タイトルの“あした来る人”とは一体誰なのか?
終盤、やきもきしながら見てたら、えっ?そういうことなの!
となる。私には、ちょっと哲学的だった。
見どころは新珠三千代。このころの彼女はホントすばらしい。
冒頭とラストに暗くて長い廊下が出てきた。
『飢えたる魂』や『しとやかな獣』にも廊下が出てくる。
いずれの廊下も、冥界に通じているようで不吉だ。


2019年12月17日(火)


『アルファ 殺しの権利』(2019年)
監督:ブリランテ・メンドーサ
大阪心斎橋・シネマート心斎橋

捜査で手にした麻薬を着服する警官、さらにその上前をはねる奴・・・・
フィリピン警察の底なしの腐敗を描く。
最初から最後まで、画面に作り手の怒りが満ちていた。力作。


『天使たちのビッチ・ナイト』(2019年)
監督:ジェフ・ベイナ
大阪新世界・新世界国際劇場

ネットで尼僧たちが「ファ●ク」や「シ●ト」を連発する映画と知り興味津々で見に行った。
ときは中世、森の奥にある修道院に若い男がやって来たから、さあたいへん。
にわかに色めきたつ尼僧たち。さらには同性愛に魔女集会と大騒ぎになっていく。
とはいえ、どんなに「ひどい」映画なのかとおもったら、いわゆる艶笑コメディだった。
まあ、キリスト教にはまったく関係ない、日本人の感想だが。


『こんな私じゃなかったに』(1952年)
監督:川島雄三
大阪九条・シネ・ヌーヴォ

「ゲイシャ・ワルツ」で有名な神楽坂はん子の、同名タイトルの歌に便乗して作られた1本。
はっきり言って、どうでもいい映画なのだが、見てる間はけっこう楽しんでいた。
ご都合主義の極みみたいなラストに、「よかった、よかった」と、うなずいてしまった。


『洲崎パラダイス 赤信号』(1956年)
監督:川島雄三
大阪九条・シネ・ヌーヴォ

見るのは3度目。問答無用の大傑作。
見るたびに、心に沁みるものがある。
植村謙二郎扮する、数年ぶりに還ってきた飲み屋のオヤジが、ふたりの小さな息子たちにおもちゃの刀を買ってあげる。
兄弟は父親から貰った刀で、うれしそうにチャンバラごっこに興じるのだったが、悲しい出来事と同時に刀は川に落ち、流れていった。
親から貰ったおもちゃの刀の悲しさといえば、新藤兼人の『裸の島』にも出てきた。
あの当時の男の子にとって、親に買ってもらったおもちゃの刀は、なによりもの宝物だった。
子どものころを思いだし、切なくなった。


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