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2022年12月18日23:59

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本●「世界の映画館」

本●「世界の映画館」(パイ インターナショナル)

タイトル通り、世界各地の名だたる映画館の外観と内観を集めた写真集。
写真集といっても縦横が15cm角ぐらいの小さなもの。
ページ数も180ページぐらいと、苦にならない厚さ。
今日みたいな寒い日に、家にこもってコーヒー片手に眺めるのに最適。
図書館の利点のひとつは、本書のようにお金を払って買うまでのことはないが、立ち読みでは時間がかかってしまうような本を、手軽に借りられることだ。
ハリウッドのチャイニーズ・シアターを皮切りに、由緒ある大劇場がぞくぞく登場する。
ユニークといえば聞こえがいいが、奇抜だったり成金趣味のコテコテの外観ながら、いったん館内に入れば、オペラハウスかと見紛うばかりの豪華な内装とゆったりとした客席だ。
生涯に一度くらいは、こんなところで『ローマの休日』を見たかった。
小さい映画館も出てくる。
世界一小さい映画館と紹介されているイギリスのソル・シネマは、キャンピングカーを利用した移動式映画館。定員8名。電源はすべてソーラー・パネルだそうだ。
幾多の映画館の中で、いちばん「うおっ!」となったのが、パリのシネマテーク・フランセーズ。名前だけは知ってたが、その外観を見るのは初めてだった。
日本からは3館が登場する。
広島のサロンシネマ、同じく広島の八丁座、そして新潟上越市の高田世界館だ。
八丁座と高田世界館には行ったが、サロンシネマは行ったことがない。
広島かあ、遠いなあ。

ところで、本書の表紙にもなっているイギリス最古の映画館のひとつといわれる、ロンドンのエレクトリック・シネマの場内を撮った写真を見て、「あれっ?!」とおもった。
何かというとスクリーンの右手に数段ばかりの階段があり、その先がトイレの出入り口になっていたのだ。
すでに廃館になっているが、東京に住んでいた頃に一度だけ訪れた「新橋文化」という映画館が、同じようにトイレがスクリーンの横にあった。
そのとき、「やけに古くさいなあ」という感想を抱いたので、きっと子どもの頃に通った田舎の映画館も同じ作りだったのだろう。
「新橋文化」だけでなく、年に数回訪れる刈谷日劇と、洋画3本立ての大阪の新世界国際劇場もトイレが場内のスクリーンの横にある。
私の感覚では、トイレというものは客席のある場内ではなく、ロビーの奥にあるのが自然だとおもうが、どうして客席の、それもスクリーン横なのか不思議だった。
しかし、ロンドン最古の映画館も同じだとすると、映画館の創生期に、何かしらの理由があってトイレの位置が決まり、日本の映画館もそれを真似たのかもしれない。
あれこれ考えているうちに、少しだけ寒さを忘れることができた。



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