映画日記『私のはなし　部落のはなし』

２０２２年６月２９日（水）

『私のはなし　部落のはなし』（２０２２年）
監督：満若勇咲
今池・名古屋シネマテーク

被差別部落の歴史と現在を描くドキュメンタリー。
上映時間３時間２５分が苦にならなかった。
多くが「私のはなし」だったことが、本作の魅力だ。
「私のはなし」を語る人の中には、戦前に刊行された「部落一覧」を再刊しようとして、裁判沙汰になった出版人も登場する。
「私のはなし」を語る人びとが多岐にわたっていた。
夫からは反対されながらも、部落解放運動に献身した老婦人の話など、聞いてるだけで興味深い。
いっぽうで、現在の若者たちが語る「私のはなし」に、希望を見た。
いまも隠然として残る部落問題だけでなく、在日韓国・朝鮮人や移民などなど、なかなか差別はなくならない。
たかだか映画１本で世の中が変わるものではない。
それでも、差別をテーマにした映画は撮られなければならないとおもう。
そして、機会があれば極力それらの映画を見ようとおもう。
そうしなければ、自分の中にある差別をチェックしたり、抑止できなくなる。
撮る方も見る方も、たとえ牛歩であったとしても、その歩みを止めてしまえば差別は固定化されてしまうからだ。