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2020年04月06日23:52

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映画日記『ナイチンゲール』

2020年4月6日(月)

『ナイチンゲール』(2020年)
監督:ジェニファー・ケント
矢場町・センチュリーシネマ

ときは19世紀、ところはオーストラリアのタスマニア島。
白人の手によって、先住民のアボリジニたちは彼らの土地と多くの命を奪われていた。
イギリス軍が統治するなか、入植者だけでなく、多くの流刑囚たちもこの地にたどり着いていた。
流刑囚であるが、最愛の夫と幼い乳飲み子と暮らすアイルランド女性・クレアが主人公。
クレアに横恋慕している英国軍将校・ホーキンスと彼の部下たちが、夫の目の前で彼女を犯したあげく、夫と乳飲み子を惨殺してしまう。
一命をととりとめたクレアは復讐を誓う。
しかし、出世と転地をもくろむホーキンスは、上官のいる駐屯地へと部下たちといっしょに旅立ってしまった。
クレアはアボリジニの青年・ビリーを道案内に雇い、ホーキンスたちの後を追うのだったが・・・・

白人とアボリジニ、イギリスとアイルランド、入植者と流刑囚、そして男と女、重層する差別と対立を描きながら、ひとりの女性の復讐譚という活劇の面白さも併せもつ。
女性監督ながら、暴力描写に容赦はない。
クレアが我が子を殺した男を、手にした武器で執拗に殴打し続け、その顔を損壊させてしまう。女性としての怒りというより、子を奪われた母親の怒りだ。
いっぽう、憎んでも憎みきれない主犯格の将校を、武器でなく歌で断罪する。
この対比が見事!!
ことが子どものためなら血染めの鬼神にもなろうが、憎しみを乗り越え、正義を糺すには暴力でなく「歌」が必要だ。
作り手の強いメッセージを感じた。

ヒロインのクレアをアイスリング・フランシオシが熱演する。
相棒役のビリーを演じたバイカリ・ガナンバルも印象に残った。


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