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2020年01月08日02:07

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映画日記 『ちいさこべ』

2020年1月7日(火)

『ちいさこべ』(1962年)
監督:田坂具隆
大阪新世界・日劇東映

山本周五郎原作の時代劇。
金持ち相手の手の込んだ大工仕事で名をはせた「大留」の若棟梁・茂次(中村錦之助)が主人公。
茂次は江戸を襲った大火で、家や資材だけでなく最愛の両親を失くしてしまった。
彼は他人の助けを借りず、自分の手で大留の再興を成し遂げようと決意する。
そんなおり、茂次とは幼なじみで、奉公先から焼き出されたおりつ(江利チエミ)という娘が、大留で働きだした。
ところが、おりつは今は棟梁となった茂次に内緒で、大火でみなしごになった幼い子どもたちを匿っていた。
そのことを知った茂次は怒り、仕事の邪魔とばかりに、おりつに子どもたちをよそへ移してしまえと命じるのだったが・・・・

やさしく慈愛に満ちた男が、不幸な子どもたちを成長へと導いていくような話を想像していた。
ところが、映画がはじまってみると、茂次は子どもたちを邪険にするし、子どもたちだって天使ではない。
喧嘩はするし、うるさいし、汚いし、飯はたらふく食うし、小遣いをくれるやくざ者にはすぐなついて盗みをはたらく始末。
ひとことで言えば「クソガキ」だ。
最悪の出会いだった茂次とクソガキたちが、対立しながらもしだいに相手を認めていくことになる。
責任感が強いといえば聞こえはいいが、要するにすべてを自分で背負いこみ、依怙地になっていた男が、クソガキたちと接し右往左往するうちに、まるで春になって氷が解けるように温かみのある男へと成長していく。

一直線に因業ジジイへの道をひた走っているので、たまにはこういう誠実な生き方を描く映画を見ておいたほうがいい。

中村錦之助もいいが、本作の見どころは江利チエミ。
ひたむきで、ちょっぴり頑固で、恋心を秘めた娘役を好演していた。
千秋実や織田政雄や桜町弘子といった脇役も印象に残る。
子役時代の風間杜夫が出てるというが、どの子なのか分からなかった。



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