2019年12月22日(日)
『水と砂糖のように』(2019年)
監督:ファリボルス・カムカリ
東新町・名演小劇場
イタリアの撮影監督カルロ・ディ・パルマの映画人生を追ったドキュメンタリー。
といっても、恥ずかしながら「カルロ・ディ・パルマ」という名は、本作で初めて知った。
カルロ・ディ・パルマは、弱冠15歳にしてルキノ・ヴィスコンティ監督の『郵便配達は二度ベルを鳴らす』(1942年)の現場に入り、第二次大戦後はイタリア・ネオレアリズモの洗礼を受ける。
彼はロッセリーニの『無防備都市』(1945年)やデ・シーカの『自転車泥棒』(1948年)に参画した。
この時代のエピソードで、カルロ・ディ・パルマと、ベルイマン監督の作品で撮影監督をしていたスヴェン・ニクヴィストとの出会いと奇妙な再会に、映画好きとしてはホロリとなってしまった。
その後、『赤い砂漠』(1964年)でミケランジェロ・アントニオーニ監督、そして女優のモニカ・ヴィッティと出会うことになる。
本作によるとモニカ・ヴィッティとは一時期パートナーの関係だったという。
私が初めて見たアントニオーニ監督作品『欲望』(1966年)の撮影監督が、カルロ・ディ・パルマだった。
おもわず、「へえー!」となった。
言われてみれば、とてもきれいな映画だった。
やがて、カルロ・ディ・パルマはウディ・アレンに請われてアメリカに渡る。
彼はウディ・アレンとのコンビで『ハンナとその姉妹』(1986年)や『ラジオ・デイズ 』(1987年)といった傑作を作りあげることになる。
最近見て、大好きになった『世界中がアイ・ラヴ・ユー』(1996年)の撮影も彼だった。
本作に、断片的に登場する彼の作品を見ていたら、どれもこれも見たくなってしまう。
とりわけ『欲望』は、ぜひとも再見したいものだ。
タイトルになった“水と砂糖”のエピソードが、なんとも言えない余韻を残す。
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