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2019年10月14日00:18

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映画日記 『アップグレード』 『クロール ―凶暴領域―』

『アップグレード』(2019年)
監督:リー・ワネル
名駅・ミッドランドスクエアシネマ2

謎の犯罪グループによって、最愛の妻を目の前で撃ち殺され、自らも脊髄を損傷したせいで手足が動かなくなった男・グレイが主人公。
怒りに燃えたグレイは妻の復讐を誓う。しかし、四肢が麻痺した車椅子の暮らしではどうにもならない。絶望に自殺を試みるが果たせなかった。
そんな彼に救いの主があらわれる。
巨大な最先端IT企業を率いる若き経営者・エロンだ。
エロンは「ステム」と名付けられた極小の万能コンピュータチップをグレイの身体に埋め込んだ。
ステムが脳と神経の仲立ちとなり、グレイは手足の自由をとり戻した。
さらに、ステムはグレイの肉体に強力なパワーと人並み以上の敏捷な動きを与えた。
そして、ささいな情報を手がかりに、ステムは優れた解析力ですばやく推理していく。
グレイとステムは良き相棒となり、妻を殺した犯罪グループのメンバーを次々と追いつめていくのだった・・・・

誰が見ても『ロボコップ』の二番煎じだ。
それと、埋め込まれたチップのステムが、べらべらとよくしゃべる。
つまり、『ロボコップ』に『寄生獣』をプラスしたようなものだ。
トホホ感があるものの、アクションシーンにブラックな味付けがあって、クスクス笑いながら見ることになった。

ところがである。
このまま、犯罪グループを痛快に粉砕してエンドマークになるとおもったら、だんだんと雲行きがおかしくなり、ついには笑い事ではすまないことになっていく、という映画だった。

『ゲットアウト』の泣き笑い顔にゾッとした、ベッティ・ガブリエルが女刑事役で登場するのもうれしい。

まったく予備知識なしで見たのだが、これは拾いもの。


『クロール ―凶暴領域―』(2019年)
監督:アレクサンドル・アジャ
名駅・ミッドランドスクエアシネマ2

水泳選手の奨学金で大学に通っている女子大生のヘイリーがヒロイン。
ハリケーンが刻々と接近するなか、ヘイリーは連絡が取れない父親を探しに、いまは売物件になっている元の実家にやってきた。
彼女は床下のスペースで大傷を負い気絶していた父親を発見する。
早く病院へ行かねばと焦るヘイリーの前に、突然巨大なワニがあらわれて・・・・

映画館のポスターから、ワニ園から巨大ワニが脱走し、水着姿のお姉ちゃんたちがキャーキャーと逃げ回るようなパニック映画を想像していたら、まったく違っていた。
パニック映画でなく、紛れもないホラー映画だった。
それも飛びっきりのホラー映画、めちゃめちゃこわい!!
『ジョーズ』を下敷きにしているのだろうが、それよりも『エイリアン』の第1作に近い。
ジトジトした逃げ場のない密室、音もなく忍びよるワニ、そのワニがヒロインの目と鼻の先で残忍な口を広げる。
とにかく、突然あらわれたワニに、一瞬にして恐怖のどん底に突き落とされた。
「こりゃ、あかん」と、あまりの怖さに笑ってしまった。
『エイリアン』の第1作で、胃袋を破って飛び出してきたエイリアンの幼虫を目にしたときに匹敵する。

じつにうまい。
ショックと怖さに、いちど固まってしまったら、その後は映画が終わるまでひたすらワニが怖くなってしまう。
しかも中盤からは、その怖さが“倍増”していくのだ。

原題のタイトルも『Crawl』=クロールだった。
水泳選手のヒロインが、父親の励ましでクロールでワニと競泳するシーンからきてるのだろう。
そうそう、本作の唯一の欠点がこの父親だ。
すべての発端は、この父親が別れた女房に未練たらたらだったせいだ。
さらには、ふつう自分の娘をワニと競争させるか?と首をかしげてしまうが、映画の面白さに免じて目をつぶる。

閑話休題。
英和辞典によると、クロール=crawlは水泳のクロールだけでなく、“ヘビ・虫・人が這う。腹ばいで進む”という意味もあった。たしかにワニは腹ばいで進む。
とおもったら、「crawl」のもうひとつの意味に「生簀(いけす)」と載っていた。
生簀!!
泳ぎ回っている魚やイカをすくい上げ、その場でささっと活造りにする、いけす料理の生簀だ。
本作には水泳のクロールより、生簀のほうが似合ってる。
もちろん、生簀の中にいるのは人間なのだが。



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