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2019年07月01日00:34

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映画日記 『怪猫 呪いの沼』  『喜劇 特出しヒモ天国』

2019年6月30日(日)

『怪猫 呪いの沼』(1968年)
監督:石川義寛
大阪新世界・日劇東映

先週の蛇女に続いて化け猫映画だ。
しかし、化け猫、化け猫と書いたが、ちゃんと化け猫映画を見るのは、おとなになってから初めてではなかろうか。
そもそも、化け猫ものは、テレビドラマでも作られていないとおもう。
化け猫というジャンル自体が、忘れ去られているのだろう。
半世紀も昔の映画なので、怖くない。
ただし一度だけ、化け猫メークの女優さんの顔がぬっとあらわれたとき、ゾッとした。


『喜劇 特出しヒモ天国』(1975年)
監督:森崎東
大阪新世界・日劇東映

今回の日帰り大阪出張の目玉。
前の日曜日に、名古屋で見た森崎東監督の『女は度胸』(1969年)がとても良かった。
その森崎東監督が松竹をはなれ東映で撮った1本。
マイミクさんの情報によると、未ソフト化作品なので見る機会がほとんどないという。

京都が全国的にストリップ劇場のメッカだったころの映画。
クレジットにA級とかDXとかの冠がついたストリップ劇場が、撮影協力として登場する。
もう、これだけで懐かしい。

映画は、ストリップ嬢と、彼女たちのヒモが繰り広げる群像劇。
ひょんなことから、車の営業マンからストリップ劇場の雇われ支配人になってしまった男が、ロマンチックな雪の夜に、ひとりのストリッパーと結ばれる。
男を山城新伍、ストリッパーが池玲子。

ストリッパーたちを「公然ワイセツ」でしょっ引いていた刑事が、警察をクビになった。落ちぶれた彼は、かつて捕まえたことのあるアル中ストリッパーのヒモになってしまう。
元刑事を川谷拓三、アル中ストリッパーが芹明香。

お爺ちゃんのヒモも登場する。
舞台のことなら教え上手だが、なにしろヒモとしては年なので、スカウトしてきたストリッパーは若い男とできてしまい、いつもさみしいおもいをしてきた。
ヒモ老人を演じたのが、藤原釜足。
素人娘にストリップの見本と、腰をグラインドし「丸描いて、ちょん」と突きだした。
こんな役もしてたんだと、驚いたのと同時に、うれしくなった。

カルーセル麻紀と川地民夫のカップルが笑いをとる。
若い聾唖夫婦の奥さんが、出産費用を稼ぐために舞台にあがる。
音楽の聞こえない彼女は、はたして踊ることができるのか・・・・

彼らの、がさつで猥雑なドタバタ劇の中に、ときおりドキッとするシーンがはさまれる。
山城新伍が池玲子の下着を足の指でつまむシーンがあった。
池玲子が山城新伍をキッとにらみつける。
その下着の色は、たしか白だった。
白い下着とは、池玲子扮するストリッパーが、これまでの人生で汚すことなく、一途に守り通してきた女としての矜持の象徴だ。

ラストでストリッパーたちを乗せた護送車が京都の街なかを走っていく。
護送車の金網の向こうから、それまでアル中でヘラヘラしてた芹明香が、初めてしらふの真顔で何かをみつめていた。
50年という時を超えてもなお、スクリーンの中の芹明香のまなざしには力があった。

このあと、九条のシネ・ヌーヴォで「フィルム・ノワールの世界」を見るつもりだったが、雨が強くなったので、気力がなえてしまい、すぐに帰ってきた。
名古屋に着いたら晴れていたので、がっくりだった。
どうも、芹明香のまなざしに、私は応えることができなかったようだ。



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