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2019年06月13日01:37

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映画日記 『郡上一揆』

2019年6月12日(水)

『郡上一揆』(2000年)
監督:神山征二郎
岐阜柳ヶ瀬・ロイヤル劇場

偶然のことだろうが、マイミクさんの日記を読んでたら、「百姓一揆」という岩波新書のレヴューがあった。
その本によると、百姓一揆につきものの筵旗(むしろばた)や竹槍はフィクションなのだそうだ。
そんなこととは知らずに、冒頭のスクリーンいっぱいに竹槍を手にしたものすごい数の農民たちがいっせいに喚声をあげるシーンに、おもわず興奮してしまった。

ときは江戸中期、美濃の郡上藩はより厳しい年貢米の取り立て策をもくろんでいた。
実施されれば、いまでも困窮している農民たちには大打撃となり、たまったものではない。
藩内の各地から農民たちが郡上の城に集まり、新取り立て策の廃止を国家老に直訴した。
一揆だ。
集まった農民たちの中に、若い定次郎(緒形直人)と喜四郎(古田新太)がいた。
一揆が長期化するなかで、若いふたりは戦いの先頭に立つことになるのだが・・・・

力作、面白かった。

「一揆」というと、激情にかられた武装闘争による短期決戦みたいなイメージだが、郡上一揆は4〜5年に亘る長期戦だった。
その長期戦を維持するために、司令部を藩の外に置いたり、闘争資金を村ごとに公平に分担したりと、組織的だ。
また、闘争が長引くにつれ、脱落者や内部に対立や反目が起こってしまうこともちゃんと描いている。
映画なので、細かいところで史実とは違ったり、解釈が一方的だったりしてるとおもうが、いわば「一揆」の入門編として最適。

見どころは、のべ3,500名というエキストラによるモッブシーン。
さきの冒頭シーンは、1,000人ほどのエキストラが登場していたという。
つまり、竹槍1,000本と1,000人分のカツラを用意したことになる。
まあ、うしろのほうの方々は、それなりになんとか誤魔化したのだろうが、ピントが合う範囲となると手抜きはできないはず。

主役の緒形直人が、藩の弾圧をまのあたりにして、一気に険相となるところが凄い。
準主役の、りりしい古田新太も見どころだ。

帰宅して、ウィキペディアで「郡上一揆」を検索してみた。
郡上一揆は、ときの老中や若年寄、大目付、勘定奉行らが失脚するという異例の事態を引き起こした。
その政治的な混乱の中で、台頭するのが「賄賂政治」の田沼意次だった。
また、藩主は改易となり、お家は断絶だ。
浪人となった家臣たちは、一揆農民に恨みをもつことになる。
農民たちの間にも、一揆に参加した者たちと、しなかった者たちの間にわだかまりが残った。
分断し荒んだ領民たちの融和のために、着任してきた新藩主は、夏の盆踊りを奨励する。
その盆踊りこそが、いまに続く、徹夜踊りで名高い「郡上おどり」の始まりであった!!
パパン、パンと、まるで講談のような話が続いていた。

いまでも郡上八幡市内のあちこちに一揆に蜂起した義民たちを顕彰する碑があり、映画の公開を記念して作られた、その名も「郡上一揆」という地酒がかつて売られていたという。


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