2018年10月20日(土)
『ファニーとアレクサンデル』(1985年)
監督:イングマール・ベルイマン
今池・名古屋シネマテーク
テレビ放映の録画で1度見ているが、映画館では初めて。
冒頭のクリスマス・パーティに出てくる、銀食器に盛られた豪華な料理のような映画だ。
室内セットの装飾や小道具、登場人物たちの変化に富んだ衣装の数々、そして劇場を埋めつくすエキストラ、絢爛で圧倒的なボリューム感の映像だ。
プロローグで登場する劇場には、「悩むより楽しめ」という言葉が掲げられていた。
本作は、このひとことに集約できそうだ。
人生に幸福なときなど、ほんのわずかしかないのだから、その幸福にめぐりあえたなら、とことん楽しみなさい、ということだろう。
陰鬱で小難しい映画を何本も撮ってきたベルイマンも、こういう境地にたどりついたのかとおもった。
ただし、「楽しめ」とあおる一方で、終盤の、厳格で冷酷だった主教の幽霊があらわれ、アレクサンデルの頭を小突くシーンは、楽しんでもよいが「あまり調子に乗るなよ」という忠告だった。
上映時間5時間11分は、さすがにこたえた。
2度ほど、うつらうつらとなってしまった。
ところが、家に帰ってウィキペディアをのぞいたら、ベルイマンがこの大作を撮ったのは、今の私と同じ64歳のときだという。
いろいろな意味で、刺激になる1本だった。
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