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日記一覧

 清水俊史『ブッダという男 初期仏典を読みとく』(ちくま新書、2023年)を読了。仏典にはブッダについて様々な神話的記述が存在し、こうした描写は、かつては字義通りに受け入れられていた。しかし、近代に入って実証主義的な科学的知識やものの見方が浸透

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荻原規子『空色勾玉』
2023年12月30日08:07

 荻原規子『空色勾玉』(徳間文庫、2010年)を読了。日本神話を題材としたファンタジー小説。古代日本がモデルの豊葦原を舞台としており、そこでは「輝の氏族」と「闇の氏族」が烈しく争っている。 恐らく「輝の氏族」は天孫族、「闇の氏族」は出雲族がモチ

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 映画の『翔んで埼玉 琵琶湖より愛をこめて』を鑑賞。マンガの『翔んで埼玉』を映画化した作品の続編。前作は関東における東京の帝国主義を取り上げたが、今作は関西における京阪神の支配が扱われている。 この作品でも原作や前作と同様に県民性が戯画化さ

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映画の『ゴジラ-1.0』
2023年11月20日20:45

 映画の『ゴジラ-1.0』を鑑賞。占領下の日本を怪獣ゴジラが襲う映画。日本は武装解除されている最中なので、政府は軍事力を用いることが出来ず、占領軍である米軍もソ連を刺激しないため、動かないことから民間でゴジラに立ち向かう。 もっとも、それによっ

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 小野寺優『いちばんわかりやすい日本神話』(じっぴコンパクト新書、2023年)を読了。イラストも付いた日本神話のガイドブック。著者は『古事記』をライトノベルにノベライズした『ラノベ古事記』も書いている。 それゆえにか、本書の「神々の事件簿」では

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 上田信『戦国日本を見た中国人 海の物語『日本一鑑』を読む』(講談社選書メチエ、2023年)を読了。一七世紀初頭、明代における日本人のイメージは如何にも凶暴な姿で描かれている。そのイメージは一五五〇年代に中国の沿岸部を襲撃した倭寇に由来した。 

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 ビタリー・テルレツキー/カティア『サバキスタン 3 裁判』(鈴木佑也訳、TWO VIRGINS、2023年)を読了。擬人化された動物の世界を描くロシアのマンガ。本書は最終巻に当たり、物語は一つの法廷闘争を巡って展開する。 犬の独裁国家であったサバキスタ

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 ビタリー・テルレツキー/カティア『サバキスタン 2 仔犬たち』(鈴木佑也訳、TWO VIRGINS、2023年)を読了。擬人化された動物の世界において独裁国家サバキスタンを描くグラフィック・ノベル。前巻から年月が経過し、犬の国サバキスタンは体制が転換し

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川口清『神武天皇』
2023年09月05日20:37

 川口清『神武天皇 日本国を創った男』(文芸社、2023年)を読了。神武東征を題材とした歴史小説。舞台は中国で言えば、光武帝の時代に設定されており、神話の合理化がなされている。 恐らく原田常治の史観に依拠しており、風土記や神社の伝承も取り入れら

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 カール・マルクス『一八世紀の秘密外交史 ロシア専制の起源』(カール・アウグスト・ウィットフォーゲル序、石井知章・福本勝清編訳、周雨霏訳、白水社、2023年)を読了。資本主義研究を続けてきたマルクスは、資本の文明化作用を阻むアジア的社会の研究か

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瀧浪貞子『桓武天皇』
2023年09月01日18:25

 瀧浪貞子『桓武天皇 決断する君主』(岩波新書、2023年)を読了。桓武天皇の父である光仁天皇は擬制的な血脈関係によって天武系天皇として擁立された。光仁は天智天皇の孫だったが、父たる施基皇子は天武天皇の子として扱われた。 光仁は聖武天皇の娘であ

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 ビタリー・テルレツキー/カティア『サバキスタン 1』(鈴木佑也訳、TWO VIRGINS、2023年)を読了。擬人化された動物たちの世界で全体主義国家サバキスタンを描くグラフィック・ノベル。サバキスタンが鎖国を緩和し、独裁者「同志相棒」の生前葬に出席す

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 井上文則『軍と兵士のローマ帝国』(岩波新書、2023年)を読了。ローマ帝国の初代皇帝アウグストゥスは地中海世界を統一し、西部ユーラシアの政治状況を安定させ、シルクロードの交易が活性化した。しかし、東方へ進出したローマは、戦争が長期化・慢性化し

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 笹生衛『まつりと神々の古代』(吉川弘文館、2023年)を読了。平安時代中頃の十世紀という時代は神観と祭祀のあり方が古代以前から中世以降へと変化する大きな転換点となった。十世紀は自然災害が頻発して激甚化し、大規模な内乱が発生した。 このように不

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 鈴木慧『三輪山何方にありや 古事記中つ巻異書長髄彦伝より』(郁朋社、2019年)を読了。神武東征を長髄彦の側から描いた小説。徹底して視点を長髄彦側に置き、神武天皇の側は全く描写されない。 前に読んだ吉川永青『新風記』の逆で、主役の長髄彦ら大和

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吉川永青『新風記』
2023年07月13日12:31

 吉川永青『新風記 日本創生録』(講談社、2021年)を読了。神武東征を人間の歴史として再編した小説。弥生時代、日向の里の跡継ぎである彦火火出見が天災や戦争に危機感を抱き、理想郷として伝わる豊葦原への移民を決意する。 今の価値観から見れば、神武

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 マーク・ウェイド/アレックス・ロス『キングダム・カム』(秋友克也・依田光江訳、小学館集英社プロダクション、2010年)を読了。「エルスワールド」という本編のIFストーリーを描いたアメコミで、ヒーローの世代交代が扱われている。スーパーマンら旧世代

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 保坂三四郎『諜報国家ロシア ソ連KGBからプーチンのFSB体制まで』(中公新書、2023年)を読了。ソ連が崩壊した後、ロシアではソ連共産党こそ解散したものの、屋台骨として党を支えてきたKGBは体制転換を生き延びた。反ゴルバチョフ・クーデターで中心的な

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 イ・ソヨン他『蒸気駆動の男 朝鮮王朝スチームパンク年代記』(吉良佳奈江訳、早川書房、2023年)を読了。韓国SFの作家たちによるスチームパンクのアンソロジー。蒸気技術が発達した李氏朝鮮を舞台にし、様々な時代が描かれ、蒸気機関で動く都老が歴史の転

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 下田淳『ドイツ葬送文化史 近現代における生と死の棲み分け』(教育評論社、2023年)を読了。ヨーロッパ近現代は時間と空間を能動的に棲み分ける特徴を持っている。死に関しても同じだ。 一九世紀以降、ヨーロッパは生者の空間・時間と死者の空間・時間を

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 吉村武彦他編『陸奥と渡島』(角川選書、2022年)を読了。「蝦夷」とは日本列島の東北方に住み、王権に従わない人々を王権側が一括して呼んだ呼称だ。元々は人種や民族とは異なる政治的な他者認識なのだが、文化的な要素が付きまとってもいる。 蝦夷につい

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 映画の『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』を鑑賞。ゲームの「スーパーマリオ」シリーズをアニメ化したもので、特定の作品を取り上げてはいない。主役のマリオが敵役のクッパを倒すという基礎に他作品からの様々な要素が組み合わされている。 言わ

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 若井敏明『「神話」から読み直す古代天皇史』(歴史新書y、2017年)を読了。『古事記』や『日本書紀』は十分に歴史的事実を含んだ情報に満ちている。考古学上の発見でその情報が裏付けられるケースが幾つもあり、第十代崇神天皇の王宮は纒向にあったらしい

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 藤縄謙三『ギリシア文化と日本文化 神話・歴史・風土』(平凡社ライブラリー、1994年)を読了。ギリシア文化の立場に立って日本文化を眺めた比較文化論。ギリシア文化は現代ヨーロッパにも継承されており、日本文化も年代的には現代にまで及ぶ。 明るく澄

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 映画の『卑弥呼』(篠田正浩監督、1974年)を視聴。邪馬台国の女王である卑弥呼を描いている。古代日本の歴史だけではなく、日本神話のネタもちりばめられている。 例えば卑弥呼は天孫族の姫で、兄弟に崇神天皇と垂仁天皇がおり、異母弟のタケヒコは素戔嗚

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豊田有恒『倭王の末裔』
2023年04月05日11:20

 豊田有恒『倭王の末裔 小説・騎馬民族征服説』(角川文庫、1977年)を読了。騎馬民族征服説という学説をノベライズした歴史小説。日本が朝鮮半島の騎馬民族によって建国される歴史を描く。 三部構成になっており、騎馬民族が北九州に邪馬台国を築き、神功

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藤川桂介『天之稚日子』
2023年03月30日16:08

 藤川桂介『天之稚日子 1〜4』(角川文庫、1988-1990年)を読了。日本神話における稚日子の反逆を題材としたファンタジー小説。物語は宇宙の創世から始まり、その時から続く因縁が稚日子に影を落とし、彼を高天原から葦原中国へと天降らせる。 著者は『

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 駒碧『マンガ古事記 イザナキとイザナミ』(小野寺優原案、KADOKAWA、2023年)を読了。『古事記』をコミカライズしたマンガで、本書はイザナキとイザナミの国生みが題材になっている。小野寺優『ラノベ古事記』を原案としているが、内容などに相違も見られ

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 鶴巻孝雄「平等主義的ラディカリズムの一典型 神代復古誓願運動」(『近代化と伝統的民衆世界』所収、東京大学出版会、1992年)を読了。明治十八年、小林與平・與兵衛の父子は「神代復古請願書」を起草した。その内容は神代が「天照皇大神の明教」を国教と

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小松多聞『神異帝紀』
2023年01月25日14:14

 小松多聞『神異帝紀』(郁朋社、2002年)を読了。継体天皇の即位を描いた小説。歴史ファンタジーの側面があり、奇姫なる女剣士が登場し、彼女には一言主という神が宿っている。 また、奇姫の父は「浦の島子」なる漁夫で、後に浦島太郎と呼ばれる。『日本書

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