映画の『翔んで埼玉　琵琶湖より愛をこめて』

　映画の『翔んで埼玉　琵琶湖より愛をこめて』を鑑賞。マンガの『翔んで埼玉』を映画化した作品の続編。前作は関東における東京の帝国主義を取り上げたが、今作は関西における京阪神の支配が扱われている。
　この作品でも原作や前作と同様に県民性が戯画化され、過剰に演出されている。それは被支配層である滋賀県・奈良県・和歌山県だけではなく、支配層である京阪神にも適用されている。「野蛮」な「東洋」を蔑視するのがオリエンタリズムだが、「文明」的な「西洋」を敵視するオクシデンタリズムもある。
　今作は前作と異なり、オリエンタリズムだけではなくオクシデンタリズムも視野に入れられている。それが映画にて追加された現代パートで、両者の止揚が図られている。また、エンドロールでの演出など前作ほどのキレはないが、今作も工夫は十全に凝らされている。