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日記一覧
- 白石太一郎『考古学と古代史の間』
- 2022年12月29日08:14
白石太一郎『考古学と古代史の間』（ちくまプリマーブックス、2004年）を読了。大和と河内は朝鮮半島から玄界灘沿岸、瀬戸内海沿岸を経て近畿中央部に至る水上交通路の終点だった。また、そこから東日本に至る陸路の起点でもあり、交通の要衝を占める有利な
- 和木浩子『八岐の大蛇』
- 2022年12月09日08:55
和木浩子『草薙列伝 八岐の大蛇』（教育画劇、1997年）を読了。日本神話を神々ではなく、人間たちの物語として再構成した小説。弥生時代の出雲が舞台で、肥の川の流域に三つの族が住んでおり、クサナギ族の族長ナギヒコが主役を務める。 ナギヒコは八岐大
- 佐賀純一『小説 蛭子』
- 2022年11月24日07:50
佐賀純一『小説 蛭子 古事記より』（東洋医学舎、2005年）を読了。日本神話の神である蛭子を主人公とした小説。産みの親に捨てられた蛭子は、何者でもなくなり、それ故に様々な人物となって流浪する。 彼は美しい目しかない幽霊のような存在で、取り憑い
- 野溝七生子『眉輪』
- 2022年11月10日08:57
野溝七生子『眉輪』（展望社、2000年）を読了。古代に材を求めた歴史小説。大草香皇子の子である眉輪王が父を讒言によって安康天皇に殺され、仇たる天皇を刺し殺す。 本作は大正十四年に映画のシナリオとして書かれ、雑誌の懸賞に応募された。選者の菊池寛
- 三浦清美『ロシアの思考回路』
- 2022年11月07日20:42
三浦清美『ロシアの思考回路 その精神史から見つめたウクライナ侵攻の深層』（扶桑社新書、2022年）を読了。ロシア正教をはじめとする東方正教と西欧キリスト教はかなり異なっている。西欧キリスト教は「神がキリストにおいて人間となられたので、人間もキ
- 池澤夏樹『ワカタケル』
- 2022年11月04日10:44
池澤夏樹『ワカタケル』（日本経済新聞出版、2020年）を読了。『古事記』を現代語訳した著者による雄略天皇の小説。基本的には雄略ことワカタケルを語り手としつつ、彼に仕えるヰトの視点も交え、その治世や没後について物語られる。 本書は作者が『古事記
- アヴラム・デイヴィッドスン『不死鳥と鏡』
- 2022年10月31日10:47
アヴラム・デイヴィッドスン『不死鳥と鏡』（福森典子訳、論創社、2022年）を読了。古代ローマの詩人ウェルギリウスことヴァージルを主役としたシリーズの一作。ヴァージルは中世ヨーロッパの伝説において魔術師とされ、そのような世界観に基づき、このシリ
- 森本あんり『反知性主義』
- 2022年10月24日12:32
森本あんり『反知性主義 アメリカが生んだ「熱病」の正体』（新潮選書、2015年）を読了。知識人はしばしば権力や制度の一部となる。反知性主義は知性が知らぬ間に越権行為を働いていないか、自分の権威を不当に拡大使用していないかと敏感にチェックしよう
- 岡田精司『京の社』
- 2022年10月08日08:22
岡田精司『京の社 神と仏の千三百年』（ちくま学芸文庫、2022年）を読了。京都は古代から近代まで神社の歴史が全て一望できる。「神社」というものは決して同じものが続いたのではなく、時代の流れと渦巻きの中で様々に変化しつつ、今日まで続いてきた。
- 田澤裕『ローマふたり暮らし』
- 2022年10月02日09:29
田澤裕『ローマふたり暮らし』の第１巻（スクウェア・エニックス、2022年）を読んだ。古代のローマ市で二人暮らしを始めた新婚夫婦のマンガ。西暦62年に起こったポンペイ市の地震からまだ間もないので、恐らく時代はネロの治世か。 妻クロエは夫ティトゥス
- 田辺聖子『隼別王子の叛乱』
- 2022年09月15日15:14
田辺聖子『隼別王子の叛乱』（中公文庫、1978年）を読了。仁徳天皇の治世に隼別皇子の叛乱を題材にした小説。なお、表記は仁徳天皇は大「鷦鷯の大王」、隼別皇子は隼別王子とされている。 本作は二部構成になっており、第一部で隼別王子の叛乱が扱われ、第
- 小泉保『カレワラ神話と日本神話』
- 2022年09月11日08:35
小泉保『カレワラ神話と日本神話』（NHKブックス、1999年）を読了。フィンランドの民族叙事詩『カレワラ』の編集者エリアス・リョンロートは拾い集めた民族詩のバリアントがホメロスの『イリアス』とも比べられる偉大な叙事詩の断片であると確信していた。
- 森岡浩之『月と炎の戦記』
- 2022年09月10日12:48
森岡浩之『月と炎の戦記』（角川スニーカー文庫、2000年）を読了。日本神話の岩戸隠れにおける地上での出来事を描いたライトノベル。狩人である人間の少女カエデが月の神ツクヨミと助けられ、夜の闇を跋扈する化け物の退治を頼む。 岩戸開きの裏側を物語る
- 氷室冴子『ヤマトタケル』
- 2022年09月07日16:53
氷室冴子『ヤマトタケル』（集英社文庫、1986年）を読了。ヤマトタケルの伝説を題材とした少女小説。様々な語り手の視点からヤマトタケルを描く。 ヤマトタケルの生涯を順に追うのではなく、その臨終から回想を展開する形式が取られている。本書が独特であ
- 菅野覚明『本居宣長』
- 2022年08月16日20:34
菅野覚明『本居宣長 言葉と雅び』（ぺりかん社、1991年）を読了。本居宣長は和歌の言葉が美しい秘密を解き明かすため、古代の日本語たるやまと言葉の研究を始めた。宣長は気の遠くなるような作業の果てにやまと言葉が清音のみの五十音という整然とした体系
- 定金伸治『Kishin』
- 2022年08月12日16:01
定金伸治『Kishin 姫神 邪馬台王朝秘史 �機銑后戞塀険兌劵后璽僉璽瀬奪轡緤幻法�2001,2003年）を読了。邪馬台国の歴史と『古事記』などの神話を組み合わせたライトノベル。台与が北九州にある邪馬台国の女王となるため、卑弥呼の息子である忍穂を訪ねる
- 日の神論争
- 2022年08月01日19:53
1786年から1787年にかけて国学者たる本居宣長と上田秋成は書簡を通し、日の神である天照大御神を巡って論争を交わした。宣長は日本神話を絶対視し、日は全世界を照らすので、その神たる天照を戴く日本は、世界に冠たる国であると唱えた。秋成は日本神話を相
- 上條宏之「国学から初期社会主義への道」
- 2022年07月30日17:19
上條宏之「国学から初期社会主義への道 今村真幸論」（『変革における民衆』所収、銀河書房、1994年）を読了。一九○六年に日本で初の合法的な社会主義政党である日本社会党が創立され、最年長の党員は七七歳の今村真幸だった。今村は平田鉄胤の家に寄留し
- 笹生衛『神と死者の考古学』
- 2022年07月24日16:07
笹生衛『神と死者の考古学 古代のまつりと信仰』（吉川弘文館、2016年）を読了。五世紀前半から中頃の時期、日本列島には中国大陸や朝鮮半島から鉄素材が大量に流入し、鍛冶・紡織・須恵器焼成といった新たな技術が導入され、馬匹の文化が受容された。この
- 小谷信千代『法然・親鸞にいたる浄土教思想』
- 2022年07月14日17:51
小谷信千代『法然・親鸞にいたる浄土教思想 利他行としての往生』（法藏館、2022年）を読了。日本において浄土教は平安後期から鎌倉時代にかけての戦乱や飢饉などによる災害に苦しむ末法の世を背景にして興起した。千観や源信ら旧仏教者たちは叡山浄土教の
- 井上章一『日本に古代はあったのか』
- 2022年07月04日12:43
井上章一『日本に古代はあったのか』（角川選書、2008年）を読了。古代のない地域はユーラシアには一杯ある。例えば北ドイツやスカンジナビア諸国、スラヴ民族の国家に古代はない。 日本にも古代はなく、日本史は中世史として始めうる。飛鳥時代も奈良時代
- 松木武彦『縄文とケルト』
- 2022年06月24日16:28
松木武彦『縄文とケルト 辺境の比較考古学』（ちくま新書、2017年）を読了。約一万年前を前後する頃、氷河期が終わって温暖化し、中緯度地帯の平原や森林では人々が豊かになった資源に頼り、多人数で定住するようになった。やがて太陽の活動に変化が起こり
- 保坂俊司『インド宗教興亡史』
- 2022年06月14日15:37
保坂俊司『インド宗教興亡史』（ちくま新書、2022年）を読了。インド亜大陸では先住民が征服者アーリア人に支配されて同化した。紀元前一〇世紀頃から先住民の「ダーサの宗教」とアーリア人の「ヴェーダの宗教」が絡まるようにしてバラモン教が形成された。
- 島田裕巳『「日本人の神」入門』
- 2022年06月10日12:41
島田裕巳『「日本人の神」入門 神道の歴史を読み解く』（講談社現代新書、2016年）を読了。戦争を司る神に比べ、平和を司る神は決して多くはない。神道の神々も平和を実現してくれる力を有する神は存在しない。 日本では仏教の仏の方が慈悲や平安を司る役
- 上田正昭『日本神話』
- 2022年06月09日08:44
上田正昭『日本神話』（岩波新書、1970年）を読了。ヨーロッパでは人間性を回復し、豊かな創造力を取り戻すため、しばしば原古の出来事を大らかに物語った神話が絵画や彫刻、文学や宗教などに再生した。だが、日本では記紀神話が文学や芸術の世界において復
- 坂本太郎『日本の修史と史学』
- 2022年06月08日17:02
坂本太郎『日本の修史と史学 歴史書の歴史』（講談社学術文庫、2020年）を読了。日本ではおよそ一三〇〇年以上に渡り、様々な歴史書が編まれてきた。古代は政府が歴史を編修した。 中世は物語風歴史と宗教的史論の時代だった。古代の官撰史書を模した歴史
- メフディ・モザッファリ『イスラム主義』
- 2022年06月02日12:10
メフディ・モザッファリ『イスラム主義 新たな全体主義』（鹿島正裕訳、風行社、2018年）を読了。本書は「イスラム主義」を「イスラムの全体主義的解釈に基づき、宗教に着想を得たイデオロギーで、その最終的目標はあらゆる手段を用いて世界を征服すること
- �眦膵�次「太子信仰と天神信仰」
- 2022年05月03日13:15
�眦膵�次「太子信仰と天神信仰」（武田佐知子編『太子信仰と天神信仰』、思文閣出版、2010年）を読了。真宗にとって太子信仰と天神信仰は特別な意味を持っていた。親鸞が布教しようとした東国地域は、聖徳太子の信仰が盛んで、太子信仰は東国に限定されず、
- 藤井毅『インド社会とカースト』
- 2022年05月02日08:14
藤井毅『インド社会とカースト』（山川出版社、2007年）を読了。カーストはインドの不可分の属性とされてしまっているが、それには幾つもの留保が必要となる。カーストはインド古代より連綿と続いてきたものではなく、その概念は大航海時代の始まり以降に成
- 滝川幸司『菅原道真』
- 2022年04月28日12:09
滝川幸司『菅原道真 学者政治家の栄光と没落』（中公新書、2019年）を読了。菅原道真は平安時代の貴族で、大学寮で紀伝道を学び、儒家出身の官僚として職務を果たした。紀伝道は経書の知識を踏まえつつ、中国の文学・歴史を学び、「断章取義」という言葉に
