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日記一覧

 齋藤嘉臣『ジャズ・アンバサダーズ 「アメリカ」の音楽外交史』(講談社選書メチエ、2017年)を読了。多様な文化が混淆するアメリカ南部のクレオール都市ニューオリンズで二十世紀初頭に誕生したジャズは、多様なスタイルを生んだが、その過程で追求された

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 芥川竜之介『羅生門・鼻・芋粥・偸盗』(岩波文庫、1960年)を読了。芥川竜之介には平安朝に時代を取った王朝物の作品群がある。芥川は無名作家の時代からこのジャンルを書き始め、生涯に渡って続けた。本書に収められている「羅生門」・「鼻」・「芋粥」・

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 磯部隆『ローマ帝国のたそがれとアウグスティヌス』(新教出版社、2017年)を読了。本書は古代末期のローマ帝国につぃてのエッセイとラテン教父アウグスティヌスの生涯を描いた歴史小説から成り立つ。小説の方はアウグスティヌスの友人による回想という形式

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中島敦『山月記・李陵』
2017年12月23日17:37

 中島敦『山月記・李陵 他九篇』(岩波文庫、1994年)を読了。著者の作品を三つの型に分けて収録している。第一は漢文のような文体である「李陵」・「弟子」・「山月記」など、第二はエキゾチシズムの「環礁」、第三はメタフィジックたる「悟浄出世」・「悟

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 『精選女性随筆集 一 幸田文』(川上弘美選、文藝春秋、2012年)を読了。幸田文のエッセイを集めたアンソロジー。文は幸田露伴の娘で、父についての文章を発表し、作家としてデビューした。 本書にも収められた随筆を読むと、露伴は衣食住に美意識のある

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 渡辺京二『バテレンの世紀』(新潮社、2017年)を読了。ペリーが来航する三百年前に日本人とヨーロッパ人は出遭い、百年に渡る濃密な交わりがあったけれども最後には信じる神を巡って血が流れた。セカンド・コンタクトであるペリー来航においてヨーロッパは

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 李昆武/フィリップ・オティエ『チャイニーズ・ライフ 激動の中国を生きたある中国人画家の物語』(野嶋剛訳、明石書店、2013年)を読了。中国人の画家がフランス人の漫画愛好家と協力して描いた自伝漫画。著者は中華人民共和国が成立した頃に生まれ、今も

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 ガース・エニス/ジョン・マクリア『ヒットマン 1〜5』(海法紀光訳、エンターブレイン、2013,2017年)を読了。1980年代のイギリスに『2000AD』というSFコミック雑誌があり、シニカルかつバイオレンスであって反体制で、カルト的な人気は高かったが、経

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 映画の『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』を鑑賞。スティーヴン・キング『IT-イット-』を映画化している。映画化は以前にもなされたが、それよりは映像が自然な感じに仕上がっているのは、やはり技術の進歩か。 それ故に作中の時代もリアルに再現

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 井上章一編『学問をしばるもの』(思文閣出版、2017年)を読了。一般に研究者の書くものは、真理を目指していると考えられているが、多くの論文が実際には時代の型に論述振りを枠取られてきた。しかし、従来の科学史研究は自然科学が被る束縛の在り方を探り

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 宮内悠介『あとは野となれ大和撫子』(角川書店、2017年)を読了。アラル海が干上がった後に出来た架空の国であるアラルスタンを舞台とした冒険エンタテインメント。科学技術で人が住めるようになったアラルスタンは、中近東や中央アジアから難民が押し寄せ

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