ビタリー・テルレツキー/カティア『サバキスタン 1』(鈴木佑也訳、TWO VIRGINS、2023年)を読了。擬人化された動物たちの世界で全体主義国家サバキスタンを描くグラフィック・ノベル。サバキスタンが鎖国を緩和し、独裁者「同志相棒」の生前葬に出席するため、友好国の首脳やジャーナリストが訪問する。
サバキスタンはロシア語で「犬の国」を意味し、名前の通り擬人化した犬が暮らしている。著者たちがロシア人であるため、ソ連をモデルにしているのかと思いきや、どちらかと言えば北朝鮮を彷彿とさせる。ただ、狼の国たるヴォルク侯国を併合しているなど全てが同じではなく、幾つかの国家が組み合わされているのだろう。
物語は一般人やジャーナリスト、秘密警察など様々な視点から描かれる。そして、最後に「同志相棒」が別の意味で畜生であったことが判明する。本作は三部作になっており、サバキスタンがどのような顛末を迎えるのか気に掛かる。
ログインしてコメントを確認・投稿する