mixiユーザー(id:21379232)

2023年07月02日08:23

72 view

保坂三四郎『諜報国家ロシア』

 保坂三四郎『諜報国家ロシア ソ連KGBからプーチンのFSB体制まで』(中公新書、2023年)を読了。ソ連が崩壊した後、ロシアではソ連共産党こそ解散したものの、屋台骨として党を支えてきたKGBは体制転換を生き延びた。反ゴルバチョフ・クーデターで中心的な役割を果たしたが、複数の組織に分割されただけで廃止には至らなかった。
 初代ロシア大統領エリツィンは後継組織を自らの権力闘争に利用し、KGBを実質的に維持した。その後を継いだプーチンは、FSBの下に多くの組織を再統合して強化した。KGBの始祖はソ連の秘密警察チェーカーだが、FSBは今でも誇りを持って職員をチェキストと呼ぶ。
 ソ連やロシアのように巨大な情報機関があらゆる層に浸透し、「保安」を監視する国家を「防諜国家」と呼ぶ。「保安」の定義は広範かつ曖昧で、現代ロシアはチェキストとその見えない協力者が民間企業や学術機関まで広く浸透している。現代のFSBはKGBの完全な複製でもなく、疑似地政学や「ロシア世界」のように新たな流行、資本主義下での犯罪世界との癒着やメディア・サイバー空間での活動のような変化も見られる。
0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する