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2023年06月01日07:39

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下田淳『ドイツ葬送文化史』

 下田淳『ドイツ葬送文化史 近現代における生と死の棲み分け』(教育評論社、2023年)を読了。ヨーロッパ近現代は時間と空間を能動的に棲み分ける特徴を持っている。死に関しても同じだ。
 一九世紀以降、ヨーロッパは生者の空間・時間と死者の空間・時間を徐々にではあるが、能動的に棲み分けていった。前近代におけるヨーロッパの墓地と葬送を見ると、そこには生者と死者の空間・時間が混淆していた世界があった。古代ギリシア・ローマや日本も生と死の棲み分けが行われないか不徹底だった。
 近現代のヨーロッパでは世俗当局が墓地を郊外に追放し、墓地と葬送を世俗の管理下に置いた。教会当局も宗派を問わず、死を聖者の空間・時間に参入させたくない態度を取った。ただ、総力戦としての現代の戦争など生と死の棲み分けが一瞬にして崩れる場合もある。
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