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2023年04月05日11:20

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豊田有恒『倭王の末裔』

 豊田有恒『倭王の末裔 小説・騎馬民族征服説』(角川文庫、1977年)を読了。騎馬民族征服説という学説をノベライズした歴史小説。日本が朝鮮半島の騎馬民族によって建国される歴史を描く。
 三部構成になっており、騎馬民族が北九州に邪馬台国を築き、神功皇后が近畿を征服する。そして、その歴史が太安万侶が朝廷から命じられ、万世一系のイデオロギーに改竄させられる。単に騎馬民族が日本を建国するだけではなく、それがどうして後世に伝承されなかったかまで描いたのには唸らせられる。
 本作は『倭の女王・卑弥呼』や『親魏倭王・卑弥呼』ともリンクしている。しかし、この作品だけで話は完結しており、騎馬民族征服説から見た日本史の世界を楽しめる。最後には著者の史論も述べられているが、それが安万侶たちによる史書の編纂と繋げられているのも上手い。
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