山折哲雄『悪と往生 親鸞を裏切る「歎異抄」』を読了。理論家肌の僧である唯円は師である親鸞の思想を分析し、その書『歎異抄』に親鸞の警句や金言を並べているが、そこではそれらの言葉が物語られた文脈には神経が注がれていない。分析家である唯円には親
今井雅晴『親鸞と歎異抄』(吉川弘文館、2015年)を読了。歎異抄は浄土真宗の開祖である親鸞が述べた言葉を門弟の唯円がまとめた書物とされている。唯円は東国の門弟で、東国は経済力が豊かな土地であって人々も教養があり、唯円も優れた学僧であって物事の
阿刀田高『新トロイア物語』(講談社文庫、1997年)を読了。トロイア戦争の英雄アイネイアスが主人公の歴史小説。神話的な世界を描いたホメロスの『イリアス』および『オデュッセイア』とウェルギリウスの『アエネイス』を基にしているが、説明の合理化が行