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2023年07月23日14:29

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井上文則『軍と兵士のローマ帝国』

 井上文則『軍と兵士のローマ帝国』(岩波新書、2023年)を読了。ローマ帝国の初代皇帝アウグストゥスは地中海世界を統一し、西部ユーラシアの政治状況を安定させ、シルクロードの交易が活性化した。しかし、東方へ進出したローマは、戦争が長期化・慢性化していた。
 アウグストゥスは古代世界でも異例である軍の常備軍化に踏み切った。シルクロード交易からの関税収入がその財源となった。気候変動でユーラシア大陸の政治的安定が崩れると、軍事のプロフェッショナリズムが更に進展した。
 軍のプロ化は兵士の増員を伴っただけではなく、軍政と民政が分離され、文官職の設置で人件費が大幅に増大した。これはシルクロード交易の衰退で税収が低下したのに全く逆行する行為で、兵力が増強されても質は低下した。ユーラシア規模の変動はゲルマン民族の大移動ももたらし、ローマ軍を最終的な解体に追い込んだ。
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