アイリーン「今回は大変だったらしいですわね」
入ってきたアイリーンの一言はそれだけだった。何が?とは聞く必要もなく・・・・今回のライブの事である。笑って「そんな事もないよ」と言いはしたが・・・・顔が引きつって苦笑になってしまっている。
アイリーンは溜息。無理しているのがバレているようなので正直に大変だったと言い直した。
次の作戦を聞かれても何も答えられず、アイリーンにアイデアを乞う。
聞いても仕方がない。そう思っていた。だがアイリーンは2つ程、アイデアがあるらしい。片方は了承するならば曲は創らなくていいそうだ。燿がどういう事かと尋ねても答えない。
アイリーン「1つは旅行に行くこと」
燿「旅行?」
アイリーンが言うにはこの夏休み、旅行に行ってリフレッシュしたほうが捗るのではないかという案だ。確かに気分転換も必要かもしれないし、中学生の夏休み。遊びたいだろう。
燿「もう1つは?曲を創らなくていいっていう方の案かい?」
アイリーン「ええ。今回は曲を外注しようとおもいますの」
外注・・・・つまり部外者に作曲を頼むという事である。燿は大会規定を読んでみたが、’チーム内で曲を創らなければならない’という文言はない。が・・・・いいのだろうか。どこも自分達で創っているのだろうし・・・・。
アイリーン「美久ちゃんではダメなのかい?ってダメか・・・・」
たしか燿の把握しているところでは・・・・STAR-MINEは新曲を出す予定である。忙しい筈だ。だからの外注か。
アイリーン「大丈夫ですわ。外注といっても作曲家などに頼む訳ではないので」
だれだ。それじゃ。
まぁ乃愛もぼちぼち今回の曲を煮詰めて作ったそうだし、リフレッシュとして頭を休ませたほうがいいだろうか。
ともあれ。アイリーンが指名する人だろうし、ヘタな人には頼むまい。とりあえずアイリーンに任せる事にした。
アイリーン「了解。では発注をあとでしてしまいますわね。では帰りましょうか。エスコートしてくださる?」
燿「一緒に帰るって事かい?いいよ。嬉しいなぁご指名してくれるなんて」
アイリーン「っ!!・・・・か、勘違いななさらないで!!一緒に帰りたいだなんて一言も!!ま、まぁ一緒に帰ってあげなくもないですけれど!!」
どっちなんだ。エスコートイコール一緒に帰るじゃないのか。とりあえず帰り支度をすませて2人は夜の学校を後にした。
この日、月乃宮邸でちょっと騒ぎがあった。
’お嬢様に悪い虫が憑いた’と。
アイリーン「ああ、貴方との関係はまだ誰にも言ってませんでしたから」
燿「言ってないのか・・・・僕は君の彼氏として認められてない訳ね・・・・」
アイリーン「認めてないというかその・・・・は、恥ずかしいといいますか・・・・」
恥ずかしかっただけらしい。折角だからと夕食に招かれてアイリーンの家族と一緒に会食・・・・
緊張しすぎて味などわからなかったそうな。ついでに話した内容もまったく覚えていなかった・・・・。
深夜。アイリーンは先の話にあった’外注の人’に連絡をした。すると直ぐに返信メールが。添付ファイルつきメールだ。添付ファイルには曲ファイルと歌詞のファイルがあり、それを再生してみる。
アイリーン「さすがの出来ですわね。これを使わせてもらいましょうか。しかし・・・・」
発注して速攻送られてくるとは・・・・この曲、実はどこかで使うつもりだった曲ではなかろうか・・・・。
あとで聞いてみよう。’直接’。
夏休みはもうすぐそこだ----------------
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