家に駆けこんだ灯莉はそのまま家に上がり込み、仏壇脇に奉られている弓を手に取った。光は・・・・灯らない。
「やっぱり」と残念がっている場合ではない。これは資格者でないと扱えないものではない。ただの攻撃力のある弓と思えばいい。魔王を相手にするでもないし、十分だろう。駆けこむ音で気づいてやってきたのか、両親がやってきた。父親は何も言わなかったが、母親が怒鳴ろうとして・・・・レインヴィルを手にしているのに気づいてやめた。
「灯莉。それをどうするのですか」
灯莉「熊型妖魔と戦ったの。でもただの弓じゃ歯が立たないから・・・・」
「もちだすのか?それで勝てるのかい?」
「あなたは黙っててください。さて灯莉。それで勝てるというのなら持って行きなさい。ただし、きちんと帰ってきなさい家出などせずに」
家出ではないのだが、特に突っ込みはしなかった。父親は黙れと言われたが傍らにいる狸をみて「どうしたのソレ?」と呟いていた。あとで説明しておこうか。許しもでたし、レインヴィルをもっていこう。威力のある弓でしか今のところはないが、これで妖魔を倒そう。灯莉は元の場所に走っていった。
元の場所に妖魔はそのままいた。なぜか人里には降りては来ない。というのも妖魔という存在は魔王から離れられる距離というのがあるらしく、一定距離以上は追っては来ない。
つまりはこの住宅街の横にある森に魔王がいる、とも言えるのだが・・・・。
森と人里の境目の繁みに入っていく。そしてレインヴィルを構える。この段階でも弓は光を帯びなかったが、それはそれでいい。妖魔を倒せれば。ぽん太は妖魔と灯莉に間にはいって妖魔を威嚇。
(こんな小さいぽん太でも逃げずに威嚇してる・・・・戦うカのある私が逃げる訳にはいかない!!私も立ち向かっていかなきゃ!!)
構えたレインヴィルが光を帯びる。「えっ!?」とおもったが、とりあえず灯莉は霊力を込めた矢を放った。矢は熊妖魔の眉間に刺さった。
「ぐぉぁぁぁぁぁ!!!!」
熊は大きな叫び声を上げて倒れ、そのまま消滅した。流石は家宝の弓。1撃だった。
それにしても。
レインヴィルが光った。所持者と認めてくれたのか、今だけカを貸してくれたのか分からないが、レインヴィルに感謝しないといけない。住宅街の人達に被害が出る前にたおせたし、ぽん太も守れた。
灯莉「ありがとね。ぽん太」
ぽん太「きゅ〜♪」
頭を撫でてやると嬉しそうな声をあげた。さて、これで妖魔退治はできた訳だが。
先ほどはレインヴィルを手に入れる為に帰ったのだが、練習が嫌でまた逃げ出すわけにはいかない。折角レインヴィルもカを貸してくれたのだし。
灯莉「帰ろっか。ぽん太、ウチに来る?飼ってもいいかわからないけど・・・・」
ぽん太が「きゅ〜」と鳴いているので連れてってもらいたいのかと思い、抱き上げる。レインヴィルとぽん太を抱える形になったが家までだし大丈夫だろう。ぽん太を落とさないように灯莉は帰っていった。
------------------------------------SCENE5へ---------------------------------
ログインしてコメントを確認・投稿する