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2017年04月23日10:36

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PV撮影(F)/SS

流奈「反響、よさそうだね」


翌日の放課後、Ecritureの皆がランニングに出払っている間にSTAR-MINEに動画を見せる燿。概ね良かったという感想ではあるが、やはり乃愛が微妙にズレているのは見逃さない。


燿「そんなにズレてる?動画についてるコメントにもあったけど、観てる人みんなにわかる程ズレてるかい?」


ののか「何言ってんの。ドルオタには分かってトーゼンよっ」


奏鳴「私がまだSTAR-MINEの一員になる前くらいにズレてるね・・・・」


まぁ乃愛にはこれから継続して練習してもらう他あるまい。ただそれだと、予選用の作曲活動が遅れてしまう。美久がまた作るかと名乗り出てくれたが、あくまでも3人で乗り切ってもらいたいと思う燿は断った。


翼「そうだね。プロに世界には作詞家や作曲家の人がいるけど、アマチュアではそうはいかないからね」


アイリーン「ですが、間に合いますの?」





わからない。こればかりは。部活後に各々には新曲考案を指示しているが、乃愛は責任を感じてオーバーワークして疲れて作曲活動出来ずに即寝もありうる。


ランニングから戻ってきた3人に対し、曲創りに支障が無いようにと釘をさして下校させたが・・・。


美久、流奈、アイリーンにはどうしてもという時は早めに言うようにと言われたが・・・・それでも・・・・予選までに時間がなくてもEcritureだけで解決してほしい。そう思っている。


椅子に深く腰掛け、誰もいなくなった部室で考え込んでいると響介が入ってきた。大会エントリー用の写真の出来栄えを見せに来たらしい。

出来栄えは十分だった。ブレてもいないし、3人共笑顔で。その写真をみてもいい気分ではなかった。提出されたUSBメモリをパソコンに差し、画像をコピーする。そしてWEBエントリー用のサイトを開いて3人の名前を入力し、画像を添付-------------------


・・・・する手が止まった。


響介「どうしたんだいYOU?オレっちの写真が気に入らないかい?」

燿「そうじゃない。PVの曲の出来栄えを見てさ、ちょっと調整が必要な子がいてさ」


響介「乃愛ちゃんかい?」


燿「・・・・さすがだ。見てるところは観ているようだ」





動画をアップしたのは昨日。昨日の今日で動画を見たのかもしれないが・・・・動画撮影しながら見抜いたのであれば、彼はプロの能力を秘めているかもしれない。




響介「で?どうするんだい?締め切り近いんでしょ?」


燿「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・最悪、エントリー取り下げも考えうる」


準備万端ではない状態で予選に送り出しても・・・・恥をかくのは燿ではない。彼女達だ。惨めな思いをさせるくらいなら・・・・と思ってしまう。


響介「それはそれでいいけどさ。でも出させてあげなよ。あんなに練習してるんだしさ」


そういわれて響介は窓の外を見ているのに気づき、自分もみる。グラウンドではEcritureの3人がSTAR-MINEに練習をみてもらっている様子がみえた。


曲創りに影響がでないようにと言ったのに。それでも限界まで頑張っている。

そうまでして。予選突破の可能性が低いかもしれないのに。



響介「曲創りが間に合わないかもしれない。身体強化が間に合わないかもしれない。中途半端な商品は出せない。プロデューサーとしては正解かもしれないけどさ」


燿「・・・・・・・・・・・・・・・」


響介「写真もね、同じさ。構図が悪い。表情が悪い。新聞に掲載できない。写真が売り物にならないから載せないし出さない。でもさ、その写真が中学や高校で1度しかないかもしれない修学旅行の写真だったら?体育祭や文化祭は?毎年やってるかもしれないけど、その年の運動会や文化祭は1度きり。構図が悪くったって思い出の1枚には変わりはない。思い出と一緒にその時の気持ちも保存している。そんな気もする」


燿「・・・・・・完成していなくても?」


響介「そうさ。彼女達は予選突破、いや優勝という夢を目指して頑張った。例え途中で負けたとしてもさ。第3回大会がないかもしれないしさ。悔いのないようにしてあげたら」


燿「僕はプロデューサーとして、何を見てたんだろうな・・・・」


そう言って燿はパソコンに向かってエントリーを完成させて、ブラウザを閉じた。



燿「僕はいつのまにか、プロに交じって修行をしてるうちに・・・・皆を商品としてしか見てなかったのかもしれない。皆の心。それをみてあげられてなかったな。ありがとう六土君。僕は大事な事を忘れていた気がするよ」


響介「オレっちだってたまにはマジメな事言うんだZE!!」


2人の笑い声が部室でこだまする-----------


Ecritureは正式にエントリーされた。あとは完成次第だ。


しかし燿は完成度は十分でなくてもいい。響介の言葉でそう思った。優勝という目標に向かって頑張った。その事実があったら。


できれば予選は勝ち進んでほしい。そう願った。


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