夜。
恋美はベッドにつっ伏していた。
ない。あれはない。恋美は運動会の帰りを思い返していた。
一言、「お疲れ様。頑張ったね」と言う筈だったのに。なんであんな事を言ってしまったのか。
わからない。わからないが、咄嗟に出た言葉がそれだったのである。
なんで労いの言葉1つも言えないのか。つくづく嫌になる。
・・・・いや、実際は分かっている。どうしてそんな言葉が出てしまったのか---------
と考えていると、愛瑠がドアをノックして入ってきた。そしてベッドにつっ伏している恋美の横に腰かけた。
「どうしたの?」とやさしく問う。ああもうこの人は意地悪だ。どうしたもなにも、知っている筈だろうに。
とは言わずに相談してみる事にした。悩んでいることを。
愛瑠「仕方ないわよ。恋美ちゃん、ツンデレだから」
恋美「恋美、ツンデレなの!?」
気づいてなかったもよう。
恋美「まぁそれはそれとして・・・・分かってんのよ。あの時怒鳴っちゃったの」
そう、分かっていた。蛍は出た種目全部で活躍していた。障害物競走だけではないか?活躍してなかったのは。
なのに-----------
恋美「なんかさ、あいつが女の子と一緒にいるのみるとムカムカすんのよね。まぁ女の子としているんだからしょうがないけど。騎馬戦の時なんかあんなに女の子と密着しちゃってさ」
愛瑠「騎馬戦なんだから仕方ないわよ。でも・・・・そう。ムカついちゃってるんだ?」
とニコニコ顔で言う。なんでニコニコしてるんだこの人は。これが何なのかわかるのか。
愛瑠「つまり、嫉妬してるのよ。蛍のクラスメイトの女の子に」
恋美「し・・・・っ・・・・と・・・・?・・・・しっと?・・・・嫉妬!?」
ガバっと起き上がる。
嫉妬。そうか。これが嫉妬というものなのか。しかし嫉妬といえば、兄に近づく女に刀2本を向けて襲い掛かった事も何度もあるが・・・・あれよりも胸の痛みが大きい。
愛瑠「そう。でもそれはお兄ちゃんを大好きっていうだけで、本当の恋ではなかったみたいね」
そうか。本当の恋ではないのか。ではこれが・・・・
愛瑠「蛍の事、好きになってくれたようね」
恋美「そ、そう・・・・これが好きって事。なんとなくわかったわ。でも、アイツにそれは言わない」
愛瑠「あら何で?」
恋美「いうタイミングもないし・・・・」
愛瑠「そうねぇ・・・・・・・・・・・・じゃあ、クリスマスっていうのはどうかしら?雰囲気であるわよきっと。そのまま’私の身体ももらって’・・・・なんちゃって」
恋美「身体ってバカじゃないのっ!?だいたい、あんたみたいに出るトコ出てない!!」
そう言いつつ、小学生らしからぬ愛瑠の胸を揉みしだく。
恋美「いくつなの!?これおっぱいいくつなの!!」
愛瑠「・・・・は・・・・ちじゅう・・・・あ・・・・の・・・もうやめて・・・・」
やめてと懇願されたのでやめてやる。・・・・しかし小学5年生でバスト80とかどういう事だ。何を食べたらこうなるのだ。
それとも。
恋美「わかったわ。じゃああんたみたいな魅力的な女の子になる為に--------」
愛瑠「なる為に・・・・?」
恋美「にいにいにいっぱい揉んでもらう」
愛瑠「・・・・へ・・・・?」
恋美「何かで聞いた事があるわ。マッサージするといいって。じゃあどうせ揉んでもらうならにいにいがいいなって。ほら、好きな人に揉んでもらうといいとかっていうでしょ?じゃあ行ってくるわね」
そう言って恋美は自分の部屋を出て行った。愛瑠はそれを目を点にして見送った・・・・。
愛瑠「・・・・好きな人に揉んでもらうといいとか・・・・都市伝説だったような・・・・」
と呟きつつ・・・・自分の胸を見下ろしつつ・・・・触る。自分はどうしてこんなに成長しているのか?
愛瑠「都市伝説じゃ・・・・ないの・・・・かな・・・・?」
おいおい。なら博人にどんだけさわってもらったのだ・・・・。
なにはともあれ、これで両想いだという事は判明した。
どうしたらうまくいくだろうか。蛍は気弱だし、恋美はツンデレだし。
なんとかうまくいってほしい。そう願う
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