その後3時間程かけて長野県大鹿村へ。
何故「大鹿村」かというと、それは遡ること一年前。
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この蓼科の宿「薫風」でいただいたお料理があまりに美味しく、このお塩を作っているのが「大鹿村」ということをシェフから聞き出し、一年越しとなりましたが、ようやく訪ねることができたのでした。
大雨で地盤が緩み山崩れの恐れもあるので場所によっては通行止めになっている道もあるほどの山奥。
片側は切り立った崖で、曲がりくねった細い道がエンエンと続きます。そして時々、質素?な暗いトンネルも・・・
台風も心配でしたが、幸いにも雨にも降られず、到着。
急に視界が開けた場所には桜の木が沢山。
春に訪れたら、桃源郷のような感じかもしれません。
あの怖い山道の後だと、尚更感動的かも。
小さな直売所があったので、寄り道。
そして念願の「山塩」をついにゲット!
一袋50グラムで550円。
一人一袋しか売ってもらえないお塩。
そして宿「山塩館」に到着。
この「山塩」はここで作られているものでした。
小さな古い宿で、料理も所謂、田舎の手料理風で、私は油で甘辛というのが不得手なのと、昨晩の飛騨牛&ワイン三昧で胃腸もくたびれており、色々と残してしまって申し訳なかったのですが、もてなしは、本当に暖かく細やかなものでした。
「やはり調子が悪いので朝食を一人分キャンセルしてください。お値段はそのままで良いですから。」
と連絡したところ、「それでは、お腹に優しいおかゆでも焚いておきましょう。」との心遣い。
山塩でいただく炊き立てのおかゆはとても美味しく、すっかり元気になりました。
温泉もこの山塩を含んだお湯で、とても気持ち良い。
露天はありませんが、窓も大きく、外の緑は存分に楽しめます。
そして、なんと塩造りの現場を見学できる、とのこと。
「塩爺と呼んでやってください。」
と紹介されたのは、この宿の主。
宿のすぐ下を流れる川沿いにその製塩所はありました。
未だに何故かは究明されていないそうですが、おそらく古代の海が閉じ込められたものが温泉として上がってきているのではないか、とのこと。
この塩水を汲み上げ、薪でゆっくり沸騰させないように焚いてゆっくり作られる塩。
山爺の話はとても面白く、また塩造りの情熱と拘りは素晴らしいものでした。
ご先祖がこの「山塩」に取りつかれたばかりに借金だらけになって、残されたのは借用書ばかり。
でも、それがとても上質の和紙だったので、ふすまの下張りに使った、とか。
出来上がった塩を持ってみて微かな重みのあるものは、出来が悪いので、やり直す、とか。
そして山塩の結晶も見せていただきました。
アステカのピラミッドみたいな不思議な形の美しい造形。
「もっと大きくてきれいな塩の結晶を見たくてやっているんですよ。これで儲けようとか、そういうんではなくて。」
「手間暇考えたら、設けようと思ったらできませんね。結晶の作り方とかは何かあるのですか?」
「いや、知らない。」
偶然に任せているのだそう。
おそらく、仮に何か作り方というようなレシピがあったとしても、きっと塩爺はそんなことは知りたくないんだろうな、と思いました。
何かのご褒美の様に、吉兆の様に、ある日突然現れる塩の結晶だからこそ美しい。
この宿でもやはり山塩は一人50グラム。
貴重な「山塩」は奥行きがあり本当に美味しい。
作り手・塩爺のお話をうかがえたことで、さらにその美味しさは増す。
塩爺が捕われてしまった山塩の結晶。
儲かりはしないし、熱い窯の側での重労働で大変な作業だけれど、きっと塩爺はとても幸せなのだと思う。
だから、この「山塩」も幸せな味がする。
そういえば、数日後にはNHKの「アサイチ」の取材がくると言っていました。
宿的には繁盛して良いので喜ばしいことなのだけれど、これでさらに「山塩」が入手困難になったら嫌だなあ・・・とやや複雑な心境ではあります。
台風の影響で、塩爺のやっている「山塩館」も、あと山小屋もかつてないくらいのキャンセルが相次ぎ、がっくりされていました。
「山塩」を入手したい方は、ぜひ大鹿村の「山塩館」へ!
写真は塩水を汲み出す塩爺、窯で煮詰められた山塩、ユリ。
ユリと紫の花(名前失念)は大鹿村の直売所で買ったもの。これだけあって、たったの500円!?
ユリも強すぎない良い香で、本日7日めですが、まだまだ元気です。
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