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2018年08月02日23:11

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主演男役-劇「夜の寝覚」(5)

「学会で金沢に行ってきました。充実したご発表の数々、たくさん勉強させていただきました!!そしてやっぱり日文協は他時代の発表をふらふらっと聴きに行けるのが楽しいよね!!(ちょっと近世に潜入してた)」
「学会って、初めてお会いする先生に「この方があの●●先生……!!」って興奮したり「論文とイメージが違うっ……!!」って失礼な感想を抱いたりで、なんというか、オフ会かなって思う瞬間ある。」
「究極の失礼は、「ご存命だったんだ……!!」である。」
「……で、ふと思うわけだ。私は?って。私の書いたしょーもないモノを読んでくださったひとと、もし会ったとして、どうなんだろ。私と私の書いたモノに、イメージのギャップはあったりするんだろうか。なんて」
千野裕子さんのtweetより
https://twitter.com/yuko_chino/status/1016327236121550848

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本や論文を読んで「面白い」と思えば、その筆者のことを調べてみようと思うことはよくある。僕の場合、古い本を読むことが多いので、筆者が存命かどうかも分からないことも少なくない。
学問における業績というものには、時代、年代、性別を超えたところがあるだろう。しかし、それでも、人としての著者に興味が湧くこともある。存命の方であれば、講演などでお顔を拝見する(古い言葉で言えば「謦咳に触れる(接する)」)ことが出来ないだろうかと思ったりもする。

他のジャンルに比べて、国文学者(日本文学者)、特に女性の場合、文章や文体から筆者の世代や年齢を推測することはかなり難しいと思う。瑞々(みずみず)しくて大胆な文章を「大御所」が書いていることもあるし(更に言うならば、定年退官されたような年配の研究者が「自由」にモノを書いていて、それが若々しく感じられることすらあるし)、若手(と呼ばれるべき人)が堅苦しくて重々しい文章を書いていることもある。

『女房たちの王朝物語論』の著者、千野裕子さんについても、同じことが言えた。
本文を読む前に略歴などを読んではいたので、著者が「若手」であることは分かっていたのだが、その割には「堅い」文章だと感じた。これは、この本が学位取得のための論文をベースにしているからかも知れない。

別に若い女性だからというのではなく(笑)、他の業績などもあれば知りたいと思い、「千野裕子」をネットで検索してみたら、凛々しい「女優」さんが出てきた。同姓同名の別人かと思ったら、同一人物であった。しかも、女優としての紹介の中には、

「殺陣(日本殺陣道協会) 普通自動二輪車免許」

などと書かれていて、まるで「仮面ライダー」にも出てきそうな活発・溌剌とした感じのお嬢さんだ。国文学者のイメージとは、なかなか結びつきにくい。

というわけで、この学者さんに初めて拝顔したのは、彼女が平安貴族の若者を演じている舞台の中でということになった。舞台の上の彼女は、まさに凛々しく、かつ「彼」の「ワル」な部分を充分に演じていた。本当にカッコよかった。
彼女が勤める学科には、スマホの待ち受け画面に「先生」の写真を入れている女学生もいるらしい。彼女が、女の子からもてる「お姉さん」であることは想像に難くない。

彼女は劇の脚本も書いていたのだが、過去に上演した劇のノベライズ(小説化)も試みているようだ。劇場のロビーでは、彼女が書いた『かすがの』という小冊子が販売されていた。これは、「伊勢物語」に取材した小説であった。
論文では「堅い」彼女は、こうした作品の方で「大胆さ」を発揮されているのかも知れない。彼女の才能が、今後とも、硬軟の両面で発揮されることを期待したい。

観劇のときには『女房たちの王朝物語論』も持っていっていた。機会があればサインでもしてもらおうという実にミーハーな動機からだ。
劇が終わりロビーに出て少し待っていると、平安貴族の衣装のままで彼女が出てきた。
「ご著書を拝読しました。サインをいただけますか。」
と本とサインペンを差し出すと、彼女はテーブルの上でサインを書いてくれた。

その手が、震えていた。

舞台の上では堂々と演じていたように見えたが、主演で出る劇の初公演ということで、緊張していたのだろう。客席は満席で、舞台も成功していた。それでも、演技後に安堵するよりも、緊張が残るということもあるのかも知れない。

歳相応の女性らしくて「かわいいな」と思った(笑)。

最初、この日記は「男主人公」と題して劇中の主人公について書くつもりだったが、ついつい演者についての話が長くなってしまった。

◆劇「夜の寝覚」
(1)キシャ×4(2018年05月29日)
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(2)アラビアン天女(2018年05月29日)
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(4)読者・研究者・創作者(本論)(2018年06月03日)
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◆観劇日記の目次
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◆千野裕子
http://www.me-her.co.jp/profile/chino_yuko/
https://www.kgwu.ac.jp/guide/kyouin/nihon_chino/
http://www.univ.gakushuin.ac.jp/career/interview/literature/chino.html
https://twitter.com/yuko_chino
◆「千野裕子」コミュニティ
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