ビンテージフルート、つまりは現在「ふつう」になってしまった歌口への面取り(アンダーカット)が施されていないフルート3本によるアンサンブル、「トロワ・パルファン」の3回目のコンサートが終了しました。
お聴きくださったみなさま、本当にありがとうございました。
今回は、酒井さんの新作が難しかったこともあり、本当に沢山合わせたし、沢山練習した・・
もちろんそれだけではないのですが、3回目ということで、個性が豊かすぎる?私達3名も、それぞれに影響し合い、お互いへの理解も深まり、よいアンサンブルになってきた手ごたえも感じております。
名手がそろって、パっと完璧に、という世界もあるし、それはそれで素晴らしいのですが、アンサンブルの根底というか、核には、やはり、時間に伴う熟成が核として入っているものが私は好き。
そんな時間をかけて培ってきたフルート・アンサンブル「ファルベン・シュピール」、「コンセール・ルミエール」のメンバーの皆様や、フルート仲間も沢山いらしてくださった、今回のコンサート。
まだまだ至らないところはあるけれど、一回目からずっと聴いてくれているファルベンのカバちゃんの言葉が嬉しかった。
「一回目は、みんな違いすぎて、面白かった。まあ、一回目だしなあ、と思った。2回目は2回目だな、と思ったし、今回、やっぱり3回目だな、と思ったよ。最後に自然に3人が顔を見合わせて笑ったでしょ?あれがアンサンブルなんだよね。」
実際、本当に志向も奏法も趣味もバラバラで、共通しているのは「アンダーカットじゃないフルートが好き」という一点のみ。
でも、こうした趣味を持つ仲間というのは貴重で、私からお二人に声をかけての結成。
師・植村泰一先生から「白川は性格が悪い。アンサンブルもやりなさい。」と言われて、こんな私にも付き合ってくれる?と身近なほぼ同世代のお二人に声をかけたのが最初でした。
今回、「平均律の牢獄からの脱却」を唱える異才の作曲家・藤枝 守先生とのご縁をいただいたことで、アンサンブル、ソロともに、音律感覚に大きな変化があったことも有難かったです。
さらには・・
やはり、砂原悟さんの嵐を呼んだクラヴィコード・コンサートの折に、藤枝先生同様に、ご縁をいただいた、音響設計家・林 秀樹さんが、リハーサルから御付き合いくださったことも、本当に有難かった。
初めてお会いした時、サルビア音楽ホールでコンサートをする、とお話しした折、林さんは開口一番「あのホールは・・」
と素晴らしいアイディアを提供してくださり、そのご自身のアイディアでフルートアンサンブルにどのような響きの変化が起きるのか、興味があるから、リハからうかがわせてください、とのお申し出をいただいたのでした。
私が大学卒業後、初めてのコンサートを開催した原宿のアコスタジオは、なんと林さんが大学卒業後、初めて、手がけられたものでした。
横浜にぎわい座やミューザ川崎他、多くのコンサート会場を手がけられたプロ中のプロに、このように仰っていただけ、恐縮しつつも、「他のお仕事と重ならず、お時間ありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。」とお願いしていたのですが、本当にいらしてくださり、嬉しかったです。
事前に事情を説明したところ、ホール関係者のご理解もいただけ、林さんのアイディアを実行することができました。
それは、内側の扉を皆、開けてしまう、という斬新なもの。
思いつきもしませんでした。
鶴見の音楽ホールの響きは素晴らしいもので、ベルリンフィルメンバーが弦楽アンサンブルをした折にいたく感激して「このホールをドイツに持って帰りたい」と言ったほどなのですが、天井の高さに比べて、幾分床面積が狭い。
そのせいで、立ち位置によっては、音がこもって、ワンワンとなってしまうこともあり、残響が多すぎて輪郭が曖昧になることもあり、本来のベストな響きの立ち位置よりも幾分前に立つことで、それを解消してきていました。
圧がこもる感じもあった。
そういえば、耳に疾患を持つ方から言われたことがあります。
「先生の演奏会、とても聴きに行きたいのですが、あの会場は、私の耳にはきつくて、だめなのです。残念です。」
私もうっすらと感じていた、そのこもった圧が、これですっかりなくなり、会場の空気が流れ出しました。
今まで、上にばかり行っていた響きも、床を'這って下からもまわるように。
こうなると、本来の響く場所に立つことも可能となり、本当に気持ち良いコンディションで演奏できることとなりました。
「扉の素材にもよるのでどこでもできる、ということではないのですが、ここの会場は、これが可能です。床面積がこの分、広がったので、空気の流れも変わりますし、ステージ前方の響きもより利用できるので、お客さんに響きを吸われるという影響も軽減されますね。」
と林さんは解説。
会場スタッフの方も「録音チェックのため、上のモニタールームで聞いていたのですが、そこでも、響きが大きく変化して、本当にびっくりしました。」とのこと。
様々なご縁に恵まれた、本当に有難い本番となりました。
打ち上げは、フルート仲間、古武術奏法仲間、お忙しい中、最後の一曲になってしまっても駆け付けてくださったY先輩、そして作曲家のみなさま。
こんなに作曲家率が高い打ち上げ、というのも珍しいことでしょう。
今回の新作をお願いした酒井惟敬さん、来年の渡辺厚さん、再来年の岩田学さん、そして藤枝守先生。
藤枝先生からは、ご自身の大切な作品である笙による「植物文様」をよかったらフルート3本で演奏してください、とのお申し出もいただき、編曲してくださることとなりました。恐縮なことですが、嬉しい!来年もまた楽しみです。
4者4様の個性での作曲家の皆様のご挨拶も素晴らしかったです。
作品は、そのまま人を映しているのだなあ、との思いが新たに。
毎年、異なった作曲家に、「トロワ・パルファン」というタイトルで新作を書いていただく、というのはフルート3重奏作品に良いものが少ないから、という私のアイディアだったのですが、これがこのアンサンブルのもうひとつの意義にもなったのは嬉しいことです。
ソロ?
もちろん、まだまだこれまた至らないことだらけではありますが、扉一枚開いたかな、との感じはある。今までとは、全く違う場所(立ち位置だけじゃなくて)で演奏できた。
本当にありがとうございました!!
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