フェスティバルでの演奏にこれだけの充実感を覚えたのは初めてでした。
実際、年々、このin横浜の演奏技術も、アンサンブル力も、向上しているのではないか、と思います。
それに引き換え、自分自身の演奏に関しては、いつも、何かしら大きく悔いが残ることが多かった。
それは、さして責任も大きくないその他大勢の中の一人としての演奏であること、本番までの練習回数が3回であること、などなどいろいろと理由があるのですが、一番の理由は、私がこの本番をコンサートとしてとらえていなかったことにある、ということを本番当日の朝に自覚したから。
大勢のフェスティバルとはいっても、有料のコンサート。
お客様もほぼ身内ばかり、とはいっても、プロであるのなら、そこのところに、もっと責任を持つべきじゃなかった、かと。遅ればせながら、今頃気が付いたのでした。
「フェスティバルだしね」と思っていたのは他ならぬ、自分だった。
というのも、通常の自分自身の本番であれば、前の晩はむしろ、やることもないので、しっかりと眠れるのに、なかなか寝付けなかった。
その理由は・・
「あの水色のドレスには、トリファリのラインストーンのパリュールが似合うかしら?それともバロックパールのロングネックレスを2連にして、パールでまとめてみようかしら?」
というアクセサリーのことがふと、頭をよぎって、色々と考えてしまったという・・
普段の本番であれば、ドレスもアクセサリーも少なくとも2週間前にはきっちりと決めて、その恰好で練習したりもするので、前日にそんなことでは悩まない。
でもフェスティバルだから、とドレスも前の晩に決めたばかり。
明け方のぼんやりした頭で思った。
フェスティバルの本番をなめていた証拠だな・・と。
実際、このフェスティバルのもうひとつの楽しみは、普段なかなか会えない、フルートの懐かし仲間に会えること。
待ち時間も長いので、控室はいつも同窓会状態の女子会。
これが実はとても楽しい。
それに演奏が始まれば、生徒さんも出ているので、アマチュアの演奏も、そしてゲストの演奏も毎回聴いていた。
聞いてあげなくては、と思っていたし。
こうしたことを含めてのフルートフェスティバルだし、それでも十分に自分は演奏できている、と思っていた。
でも、今回は、アクセサリーのことなんかで、頭を悩ましたことがきっかけで、こうした構えの全てが自分の演奏を決して、最上のものにはしていなかったんじゃなかろうか、と心底思えてきた。
自身のソロコンサートやリサイタルで、時間があるから、といって、他の演奏を聴きにいくか?といったらそんなことはあり得ない。
おしゃべりもしない。
ということで、今回は軽くお昼を食べる以外は、「コンサート」としての集中を維持するために、他の演奏は聞かずに、ずっとフルートをさらっていました。
時間はたっぷりあったので、酒井さんの新曲を音出しを兼ねて、譜読み。
音はすべてPPにしてさらう。
この難曲の楽譜は電車に乗ったときも譜読みできるよう、フルートケースにしまっておいたもの。
控室にいるお仲間たちの過ごし方はみなそれぞれで、もちろんおしゃべりの輪に私も加わった方が自然かもしれないけれど、このあたりは、長い付き合いのある同業者同士、
「ごめんね。今日はさらうわ。これ間に合わないんだよね。」
と、食事のあとは、一人で部屋の隅に行きフルートを吹く。
周囲も「ああ、次の本番の曲が間に合わないのね」と理解してくれている雰囲気でそれに、みなマイペース同志、お互いさま、という気風なので、ごくごく普通に、ほっておいてもらえるのもありがたい。
おかげで、かなり集中して、よいお稽古ができました。
もちろん、数時間後に演奏する曲にも何度か目を通す。
できているつもりでも、ゆっくりと響きを吟味しつつ吹いけば、いくらでもやることはある。
また今回は特に、「安心スイッチ」で大きくモデルチェンジしたばかりなので、それの応用を試したかったというのもありました。
まったくの別世界でした。
こうして、普段の通常のコンサートと同じように集中力を高めて臨んだ本番は、今まで自分が、このフェスティバルの場で体験したものとは全く違った意味を持つようになりました。
これは決して、だからみんなでそうしよう、という話ではなくて、あくまでも私個人としての、本番前の心身の整え方の話です。それも、今のレベルでの。
来年はもしかしたら、またもっとくつろいで、他の演奏も、おしゃべりも楽しみつつ、よいパフォーマンスができるかもしれないですし、先のことはわからない。
でも、今まで、イマイチ、このフルートフェスティバルのことを心底楽しめなかったのはこうした中途半端な自分の演奏への構えにあったのか、と霧が晴れた思い。
今まで、後ろめたかったのか・・とようやく気付く。
もちろん、まだまだ稚拙ではあるけれど、自分なりの責任は果たせたかな、という気分。
まあ、場所も、真ん前には師匠・植村泰一先生だったのをはじめ、私の周囲はオケマンだらけだった、というのも結構プレシャーではあった。
オケマンも忙しいので、練習のときは私以上にボロボロ落ちる・・というのも決して珍しくはないのですが、本番ではきっちりと間に合わせて良い仕事をする、というのは過去の経験から知っている。
一人だけこのスペシャリスト集団エリアの中でこけるのは嫌だった。
ということで今回は、とても楽しかった!もちろん打ち上げも。
そもそものきっかけとなった悩みのアクセサリーは、両方持参して、ドレスを着てから合わせればいいじゃない、とようやく朝に気が付いて、持参。
トリファリのラインストーンのパリュールに。
お越しくださった皆様、スタッフの皆さま、演奏仲間の皆さま、本当に良い時間をありがとうございました!
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