ある程度、衣食住が足りた後の最も強い欲というのは自己顕示欲、名誉欲、といったものだ、とは昔しみじみと甲野先生が仰った言葉です。それは時として技、人をだめにする。
昨年秋からの気持ちの低空飛行、「何故、フルートか?何故音楽か?」の問に続けてやってくる疑惑は「自己顕示欲の為なのではなかったのか?」という自らへの問いかけです。
こうしたこともあり、出す音も奏でている音楽も嫌で仕方なくなっての、11月からの気持ちの低空飛行。
気付きがあれば、もちろん、それはそれなりに嬉しいので少しは練習もするけれど、でも、すぐにまた「だから何?」という気持ちにもなる。
師匠、植村先生にも、これらの事情を説明したお手紙を昨年12月に出し、少しレッスンをお休みさせていただくことに。
あまり練習も勉強も進んでいないというのに、ただ他力本願で「何か良いこと教えてください」と行く、という訳にはいかない。
甲野先生とも、何度かお電話ではお話はしたものの、スケジュールが合わず講座にも御邪魔できないまま、11月1日の東慶寺コンサート以来、お会いしていません。
お二人の師と3カ月お会いしていない。こんなことは、ご縁ができてからのこの10年、15年で初めてです。それも自分の意志で。
でも不思議なことに、むしろ、より近くにお二人を感じ、毎日ご一緒させていただいているような気もするのは、おそらく、悩むたびに、心の中でお二人に問いかけているからかもしれません。
ライプニッツを読んだり、白熊の気付きがあったり、で、大分、浮上しつつはあるけれど、悩みは悩みのままで、曲を演奏するたびに、答えはないまま自身への疑惑ばかりが募る。
そんな折、師匠からの遅れてきた年賀状には、過分な言葉と共に、祝福の言葉が記されていました。
『やっと壁が見えてきたな。お目出度うという感じ!』
そういえば、10月最後のレッスンの時にも、自分の演奏がもう本当に嫌で・・とこんなことをしゃべったとたんに、一瞬横を向かれた師匠の顔がニンマリしたような気がしたのは、やっぱり錯覚じゃあなかったのかも・・
それまで、ただただ進展が嬉しく、出来ない事が出来る様になっていくことが嬉しかった。
だからこそ、色々なことに意欲的に取り組むこともできたし、それも楽しかった。
嬉しく楽しい煌めきの日々。
そして、うって変ってのどんよりの曇り空ばかりの日々。
やっと本当に真摯な演奏、芸術に必要な壁が見えた、ということなのか?
でも、だからといって、「よし、、がんばる!」
みたいな気持ちになる、という訳でもないのが、またやっかいなところです。
昨日は甲野先生にも、「先生、自己顕示欲っていったいなんなんでしょうね・・」と人を時としてモンスターにもしてしまう「自己顕示欲」について、うかがってみる。
甲野先生も、気のせいかもしれませんが、楽しそうな声で、
「あ〜〜、それは隠遁生活を送っている賢者の話ですね。賢者は、人に見つかってしまい、ひっぱりだされ世間から注目されるんですけど、
『もしかしたら、自分は隠遁はしていても、本当はこうしたことを望んでいたのかもしれない』
と悩み、さらに
、『こうして悩む事も、そういう悩む自分である、ということを認識したいがためのよい自分である、という認識をしたい欲による悩みなのではないか』
と悩み、さらには、そう思っている自分がいけないのではないか、と思う自分がまたいけないと悩み・・・・・・」
「先生!まさにそれです。自分の行動原理の全てが『自己顕示欲』からくるものではないか?という終わりのない悩みのスパイラル・・」
結局、甲野先生がどうだったのかはうかがいそびれてしまいましたが、おそらく、技の進展
がさらに加速度ついていらして、それどころではないのでは、と思います。
技の進展なら私も、といつもは、大興奮でご報告しているのも、なんとなく、「手足合掌白熊四足歩行」はもう当たり前、という気がして、この時はすっかり失念していたくらい。
代わりにご報告したのは、本の詰まった大きな段ボールを自力で2階から1階へ降ろしたこと。
「あの当時は、やってみた訳ではないのですが、つま先で箱を持ち上げる、というのが、ただ手を下に回しやすいから、くらいに思っていたんです。でも、今回実際に思いだしてやってみて、つま先で箱を持ち上げた瞬間に、腕と足が繋がったのがわかり、驚きました。本当に凄いですね。ラクラクでしたから・・」
「ああ、それは、もう白川さんもそういう身体になってきた、ということですよ。」
「ああ、そうなんですね!そうか。きっと10年前に同じことをやっても、この感じはわからなかったかもしれないですね・・」
と少し気分は浮上。
とまあ、こんな日記を書いているのも植村先生や甲野先生に褒められちゃったもんね〜という自己顕示欲で・・
あと、いつか文章をまとめるかもしれない日に備えての記録?
でも、それも結局は自己顕示欲で・・
とどうみても中学生レベルの悩みのような気もしますが、そんなことで悩んでいる私も若いでしょ、といいたい自己顕示欲で・・
ほ〜ら、この日記を読んだ皆様もすっかり同じ症状に〜〜〜?
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