降ったりやんだりの雨となりましたが、無事終了いたしました。
数日前まで関西方面での稽古会に行っていらしたばかりの先生は、帰京しても休む間もなく次から次へと様々なお仕事の対応に追われていて、この日も会場に到着されたのはなんと5分前。
「5分押しにしましょうか?」と提案したところ、「いや大丈夫です。」といつも通りのオンタイム開催となりました。
喜寿を越えた方の働き方ではない、と思うし、実際、最初はややお疲れのご様子だったのですが、講座が進むに連れて、特に技の紹介と解説になったとたんに、子供のような笑顔となり、どんどんと元気になっていくご様子に驚かされました。
本当に、技の探求が好きで好きで、その情熱が先生をここまで動かす原動力であり、元気でいる一番大きな要素なのだなと再認識。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(お話)
「我流じゃだめ」と言う人が出来ているのか?といえば、そうでもない。
そこから自由になった方が良い場合が多い。
本格的に興味を持てば、それが出来る。
「武術は対応の原理」である。様々なものに対して身体は常に対応して日々生きている。対応し続けている。
人として、自分としての在り方を如何に納得できるか?より納得できる在り方が大事。
大阪の世話人で、こうした稽古や在り方を研究している世話人が、新たな、踵と母指球で歩く歩法に気付いた。
何より、気分がとても変わる。
また女性の外反母趾なども、裸足で、この歩き方をしていれば治ってくるのではないかとも思う。
これをみつけた彼も言っていたがmやればやる程、昔の人との差を感じる。
熟練の凄さ、人間の能力の凄さというのはとてつもないものがある。
(例:盲目のギャンブラー、マジシャンのリチャード・ターナー)
『裏の体育、表の体育』で取り上げた肥田春充もその一人。
(技の紹介)
相手の手を払う
普通にやると、どんなにフェイントをかけても、大概払うことが出来る。
それは動きを見ているからではなく、相手の心を読んでいるからだ。
特別な能力でもなんでもなく、人は人の心を読む。
人が人の気持ちを読むのは極日常。
(私の技は)それを使っている。自分でもいつ(手が)出るかわからない。
そこが難しい。
(体験された受講生はみな払うことが出来ず崩される)
簡単なものであれば、椅子からの立ち上がり方がある。
(脚を虎落に組むもの、腕をカイクリカイクリしつつのものと2つ紹介)
これから世の中大変になってくる。時代が凄く変わった。人々の色んな意識も変わった。昭和の頃なら笑いごとで済んでいた都市伝説なども笑えなくなった。
(例 『となりの小さいおじさん」)
中国武術も、ロボットがやっていたり、ターミネイターのような世界。
こうした凄い時代だからこそ、人が人として在ることがわかりにくくなっている。
誰もが無関係ではいられなくなっている。
楽器の演奏に、如何に自分の思いを込められるか?AIと違うことが出来るか?
自分が在る、存在していることに関して、稽古の一つ一つの中で、どうしていけば納得できるのか?
段々出来るようになってくる、というのは飛び抜けた次元の違う世界から見たら、全く違うことをしている。
やればやる程、違うことをしている。
自分の中で数やって身に付くのは(熟練の技からは)一番遠い世界。
自分が納得できるようにやる。(「肯心自許」)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(個別指導)
1.ハンドパン
前回のご指導のアフターを聞いていただきたい。新たなご助言が欲しい。
(先生)新たな歩法の紹介。
これにしたところ、響きが増し、音の輪郭もはっきりとなる。途中を足を普通の状態に戻すと、響きももとに戻る。
2.打楽器奏者(ブラジルのタンバリンとマリンバのマレット)
ずっとタンバリンを持っていると左腕が痛くなるのをなんとかしたい。
マレットも腕だけになりがちなので、身体全体で持てるようにしたい。
(先生)左手のみ指紐、両手に指紐、丸紐四方襷
タンバリンの音色、響き共に大きく変化。
マレットも椅子を叩く音が同様に変化。
(本人談)指紐で腕の負荷が軽減。四方襷で背中に意識が通った感じに。
3.一般
紐の使い方が知りたい。
(先生)腹紐、四方襷等の様々な巻き方と効用を紹介。
4.ギター(19世紀ギター)
弾いていて腰が痛くなったり、身体がねじれるのをなんとかしたい。
あと、つっかえるのもなんとかしたい。
(先生)指紐、祓い太刀
19世紀ギターならではの雑味のない澄んだ美しい響きがより通るように。
(本人談)最初の8小節はとても楽に弾けた。
5.バロックリコーダー
グラナディア(黒檀)製のため、重いので右腕が痛くなってくる。
(先生)両手に指紐
息の取り方、姿勢、音の出し方、響き、演奏全てが激変し、よく通る雅やかな音色に。
6.フルート(白川)
(初参加が多く、希望者も多いだろうからと、登壇するつもりではなかったのだけれど、誰も居ないので参加。)
前回の先生の気付き「身体の芯を捩る」が出来ている訳ではないのだろうけれど、そう思うだけで、何かしらが変化して音が変わったので先生、皆さまに検証していただきたい。面白いのは生徒さんもこれで音が変化すること。
今回の新たな歩法で、大きく変化したので、これも同様に検証していただきたい。
そして、より精密な足運びの方法や、具体的な踵の箇所、等をご指導いただきたい。
またピアノのペダルもこのやり方で変化したので、ピアノも。
音色の違いが分かりやすいのと、短いフレーズなのとで、フルートは自作の「ウクライナの風」、ピアノは「満ちてゆく」(藤井風)のイントロ。
(先生)
踵は今の状態よりも少し外側が良いと思うが、まず歩いてみて、自然に当たるところを探すと良い。私の場合はソの字立ちなので、踵も外側。
(本人談)踵の外側と母指球にするとより拮抗が生じ難しいが、より音が響くのがわかった。ソの字立ちの前側の足はなんとかできるが、後ろ側が難しかった。
いずれも、本人以上に先生、そして客席に変化が伝わったようだった。
未だにとても妙な緊張をする音楽家講座での演奏は自身にとっても興味深い体験だけれど、緊張はしても、この踵と母指球で立つことによって、納得感が生れ気持ちが開放され、それが緊張緩和にも大きく役立つということが驚きだった。
メンタルだけでなんとかしようとするのではなく、身体の在りようを変えるだけで、人はこれほど変わることが出来るということに感動。
本番が終わるたびに、今度こそ、のんびり老後で猫と静かに丁寧に暮らすぞ、と思ったりもするのだけれど、またムラムラと、このやり方で本番やらねばなあ、などと思ってしまったのでした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
懇親会も大人数でとても楽しいものでした。
ご参加くださった皆様、会場スタッフの皆様、スタッフの御二人、甲野先生
本当にありがとうございました!
酷暑の夏は、甲野先生の講座は夏休みとなり、次回は9月28日(月)となりますが、8月31日(月)は御子息、甲野陽紀(はるのり)先生がご登壇くださります。
みなさまどうぞお越しくださいませ!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
それにしても、先生の佇まいは益々美しくなっていく。
ログインしてコメントを確認・投稿する