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2016年06月18日22:47

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フルート・レッスン 6月18日(土)

師・植村泰一先生の下でのレッスンでした。

昨日のホールリハの折、不出来だったところをその日の内にさらいこみ、なんとか本日に間に合わせることが。

曲は、来週のコンサートで吹く、フェルーの3つの小品とドビュッシーのシリンクス。


レッスン前のおしゃべりはいつも楽しくスリリングなひと時です。


「先生、やっとフェルーの曲のイメージ作りができました。」

「え?」

「一曲目の『恋する女羊飼い』では、恋に捕われるとか、恋い焦がれる、というのが、今までロクな恋愛しかしてこなかったんで、今一、よくわからず、ヘタするといつも先生からご注意を受ける『お涙頂戴の場末の芝居小屋』になりそうで、困惑しておりました。これが一番の難しいところでした。

でも、能の『隅田川』であれば、私も共感し、涙することができます。

人さらいにさらわれた我が子を探し歩く、物狂いの母親、そして亡くなってしまった我が子との、この世とあの世の境界線での邂逅は究極の悲劇です。

その想いの深さが、品の良さと美しさをもたらすのかな、と。本当の恋とはこうしたものかも、と。」




「へえ・・・でもね、そういうイメージは、用心して使わないといけないんだよ。

一番いいのは、誰か、名手のレッスン受けた人を探して、その人から作曲家が抱いていたであろうイメージの話を聞くことだからね。

だって、フェルーは『隅田川』は知らないんだから。

残念ながら、僕はこの曲はモイーズからレッスン受けてないんだよ。彼は吹いているから探せば誰か、みつかるかもしれないけど・・」

「はい。でも、根底を流れている、他者を深く深く慕うという感情は通じているのではないか、と。」

「うん。ちゃんとわかってて使うのはいいけどね。」

「2楽章の『硬玉』は、夫と行ったことのあるマラケシュのジャマエルフナ広場です。

夕刻になると、様々な屋台が出、大道芸も繰り広げられ、少し怖い様な、怪しげなエネルギーの迸る場となります。私達は真夏に行ったのですが、逢魔が時、というのがもうあまりにもぴったりでした。

その中国版を表現できればと。硬玉は、売り買いされてもいるだろうし、大道芸人の衣装に縫い付けられているものかもしれません。」

「ああ、それはいいね。上手く表現できると面白いね。」

「で、最後は入水自殺した中国の英雄を讃える、端午の節句のお祭り、というタイトルなのですが、これを私は、自然界の、水辺の生き物たちによる祭りと捉えました。

そうすると、様ざまに変化する、これらのモチーフも随分と吹きやすくなったので。

参考資料などでは、平和の祈りと戦い、という解説もありますし、そういった解釈は人夫々ですが、どうしても私にはこのフレーズは戦いとは思えなくて。

最初12小節はは英雄が入水自殺した霧の立ち込める川辺。

13小節目から小人の姿の宿神が登場し、26で水面がゆらめき、28で川の中では小魚が泳ぎ、47で紅雀が飛び交い、高みに舞い上がる。

70ではみずすましが水に波紋を起こし、時折、宿神が顔をのぞかせ、90は川底の主であり、祭司でもある大きな魚(ナマズか、鯉?)が祝詞をあげる。

96からは、これは作曲家が明確に記している、「中国の縦笛」の音楽が。様々な楽器があるだろうけれど、ダブルリード、オーボエのような音色を想定しました。

そして、また紅雀が飛び交い舞い上がり、去っていく。

そして、〜なことがあったとさ、というエピローグです!」


(ユーミンの『紅雀』の「誰に禁じられても腕に飛び込みブラーヴォー!と叫ぶ♩」がヒントになったことは流石に言えなかったけど・・)

と、水辺の生き物シリーズに辿り着いた発見がついつい嬉しく、多くを語ってしまう。

先生は最早、あきれられたのか、あきらめられたのか、微妙な表情・・



そして演奏。

何度も、こちらを見る先生。

演奏後は・・

「・・へえ、随分と、ロットの音になったじゃない!?」

とのお言葉と笑顔をいただけました。

「はい!『隅田川』のお蔭です!」

・・・こらこら・・


今回のものは、楽曲のために、というよりも、むしろ、自身の身体を操作するためのイメージ活用ではあるのですが、それが上手くいって良かったです。

ある意味、小魚も紅雀も、その楽曲における心での「印」であり「スイッチ」。
心がもたらす身体への影響を意識的に「技術」として取り扱ってみた、新たな試みです。

そして、費やしたエネルギーと時間のお蔭だと思う。

ところで、ハテ、今までは何の音だったんだ?と気が付いたのは帰宅してさらっていて、しばらくたってからでしたが・・


シリンクスに関しても面白い、いや、怖いモイーズのエピソード、そして今の先生の解釈をうかがうことができました。

モイーズの講習会では、シリンクスは禁断の曲だったそう。

何故なら、とっても機嫌が悪くなるから。

ある女性がシリンクスで受講した時、どんどんとモイーズの表情が曇っていき、最後はしかめっ面に。

そして、ずっと手でパンパンと拍子を取って、それに合わせて吹かせ、「はい、おしまい!!」

だったそうです。

怖すぎる・・



そんな話をうかがった後に吹くのはとても嫌ですが・・

「あれ?随分とお行儀よくなったんじゃない?」

とこれまた、一応合格に。その上での様々なご助言で、さらにこの楽曲の貴重さが身に沁みました。

24日のコンサートに向けてさらにラストスパートです。


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