風邪もすっかり良くなったので、ご案内をいただいていた、オペラ、「ラ・ボエーム」を観に池袋まで行きました。
主役のミミを演じるのは藤原歌劇団の党 静子さん。
日曜日のたまプラーザのでの「古武術に学ぶ楽器奏法」講座の常連さんです。
バリトンのご主人、党主税さんがマルチェッロ。
ロドルフォ:上本訓久 ムゼッタ:市村柾美(いちおぺら代表)
指揮:苦米地英一 ピアノ:下岡達朗
監修:坂本和彦(としま未来文化財団芸術監督)
演出協力:岩田達宗
いちおぺら「90分でオペラを楽しもう」第4回公演
ラ・ボエーム(原語・日本語字幕)
※プロジェクションマッピング演出
2月24日(水)13:00(昼公演)、19:00(夜公演)
豊島区民センター(コア・いけぶくろ)6F 文化ホール
チケット4000円(全席自由)
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プッチーニのオペラ、「ラ・ボエーム」は最も好きなオペラです。
ミュンヘンに居た時、最も回数を観たオペラでもある。
貧乏だけれど、志ある若者達の恋と別れを描いたオペラ。
最も観ただけでなく、最も歌ったオペラでもあります。もちろん、高音域は出ないのだけれど・・
私が暮らしていたのも、このラ・ボエームの若者達が暮らしていたのと同じ屋根裏部屋でした。そこには何故か、KAWAIのグランドピアノがあり、家はアウリケルシュトラッセにあったので、誰ともなく、私の部屋は「アウリケル・テアター(劇場)」と呼ばれるようになりました。
隣人のオーボエの長岡くんはオペラが大好きで、毎朝、オーボエの前に発声練習が聴こえてくる。
素晴らしいテノールで、ハイCも出せる、オーボエ奏者。もちろん担当はロドルフォ。
私は超ヘタなのですが、女子、ということで、ミミとムゼッタの二役を割り振られる。
ファゴットの柳浦くんは哲学者のコッリーネが十八番。
オーボエの蠣崎くんは・・?それ以外のものを割り振られて、みんな引き受けていたような・・このあたり記憶が曖昧です。
ピアノ伴奏は、犠牲となるピアニストが見つからない時は、私が弾いていた。
劇場に行く時も、いつも4人は一緒でした。
私はオペラの演目に合わせてお洒落して、特別な、例えばドミンゴが歌ったり、クライバーが振ったりする夜は彼らも「仕事着」で正装して、繰り出したものです。
このWリード奏者3人組と私はとても気が合って、しょっちゅう一緒に遊んでいたので、周囲の留学生仲間からは「白川真理とフリューリングストリオ(春の三人組)」とあきれ半分で呼ばれてもいた。
まあ、ちょっとふざけた、いかれた感じ、というような意味での「春」なんだろう。
私達の暮らしも、そのまんまボヘミアンの「ラ・ボエーム」でした。
こうしたミュンヘン時代の懐かしい想い出もあって、さらに、このオペラへの思い入れは深い。
実は帰国してすぐに、日本人による公演に行ったことがあるのですが、この時は、本当にがっかりして、「やはり日本ではまだまだなのか・・」とそれ以来、日本の団体のオペラには行かなくなりました。
さらに結婚後は、夫がクラッシック音楽に関心がないこともあり、徐々に遠ざかることとなりました。
夫との結婚を最初に考えたのは、入手困難だったミラノ・スカラ座のトューランドットのチケットを四方八方手を尽くしてプレゼントしてくれたからなのに・・・
あれはいわば、撒き餌だったのよね。甘かった。
カレーラスやドミンゴを一緒に聴きに行ったこともあるのですが、毎回寝ているし・・・
普通のコンサートは一人でも行けますが、やはりオペラは、エスコートしてもらわないと、と当時は思ってもいたので、かといって、夫以外の男性という訳にもゆかず。
オペラは、いわば「デート」とセットになっているイベントでした。
ミュンヘンではフリューリングストリオとばかりだったけれど、いつかは私も素敵な彼にエスコートしてもらって、というのがささやかな?夢だった。
お洒落して、幕間にはシャンパン飲んで終演後は近くのレストランで美味しいワインと食事。
これ全てこみでの「オペラ」。
実際、ミュンヘンの劇場には、そうした素敵なカップルが沢山。
もちろん、今は全くそういうのは大丈夫ですが、当時はまだ若かったので、そのように思い込んでいた。
なので、本当に久々の「ラ・ボエーム」
昼間の公演でしたし、区民センターでしたので、ラフな格好で一人で出かけました。
池袋の小さな、古い会場なのですが、それがまた逆に小劇場の芝居の様な雰囲気を醸し出していました。
一体、この小さな箱で、あのラ・ボエームをどのように料理するのか?と心配半分、期待半分。
これが、もう本当に素晴らしかった!!
狂言回しの山高帽にフロックコートの男が最初に出てきて、面白おかしく解説。
舞台もシンプルな創りですが、よく雰囲気が出ていて、屋根裏部屋が、あれよあれよという間に、テーブルクロスひとつで、カフェ・モミュスになる。
舞台構成・演出も素晴らしく、よく練られている。
そして何より思いの外、というと失礼なのですが、実はさほど期待していなかった歌手陣が、本当に素晴らしかった、ということです。
もちろん、党静子さんの声は講座で知っているので、、それを楽しみに来た訳でもあるのですが、出演されていた歌手の皆様、本当によかった。
昔、帰国後聴いた、胸と喉が圧迫されてううう・・となったのとは大違い。
この30年の間に、日本のオペラ界も随分と変化してきた、ということなのでしょうか・・
へんな外人風メイクじゃないのも良かった。ナチュラルな、「今」の若者そのままの雰囲気なのですが、それが、ちゃんとラ・ボエームの雰囲気にもマッチしていました。
イケメン揃いだったのも、良かった!
夫々の個性を持つ自身の身体をフルに使おう、究めよう、という誠実で強い意思が、どの方の声からも伝わってきた。つまり、とてもナチュラルで嘘のない声だった。
言ってしまえば、有名どころよりもずっといいじゃないの?というのが正直な感想。
もちろん、特筆すべきは、党さんのミミ。
身体に染み入ってくる柔らかで、でも芯のある響きに、うっとりでした。
今でも頭の中に響きが残っている。
全体のアンサンブルも見事で、すっかりお話に没頭して、久々に泣かせていただきました。
満ち足りた気持ちでレッスン会場へ。
終了後は、ひたすらさらう。
良い音楽を聴いた後は、何故こんなに調子が良いのだろう?と私も進化。
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