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2020年12月18日00:26

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ドイツ軍参謀の観点からの第二次世界大戦(6) ------ポーランド戦の評価

(訳者序)この部分は,米独の視点の違いなどが注目される。独の視点は,アメリカ人よりも,現在同じような境遇を経験している日本人の方が理解しやすい。

1.7 観察---------ポーランド戦の評価

最初から最後まで,総統とプロパンガンダ担当者は,ポーランド戦を,局所的警察行動,ドイツ国防軍の特別任務として,見くびっていた。ヒトラは,配給,動員,輸送など作戦コード名:ホワイトの多くの部分を個人的に取り消した。これは,ドイツ国民へのインパクトを緩和するためである。この政治介入により,作戦が少なからぬ妨害をうけた。悪影響が是正されるまでに,貴重な数か月がが失われた。私は,許されるなら,ここで 決して止ることなく党や総統から同じような干渉により,専門家の基準からすれば。戦争の努力が十分かつ適切に組織化されることは,決してなかった。

みすぼらしい茶番劇が,8/31ポーランド国境近くのゲイヴィッツのラジオ局で上演された。ポーランド兵士が国境を越え,その砲放送局を攻撃したという偽装行為である。侵攻を開始するための大義名分として,ポーランド軍の制服を着られた政治犯と銃弾を多数打ち込まれた遺体が散乱されてた。このつまらない偽装工作をドイツ国防軍の誰もが知らなかった。我々は,72時間前に撤回の不可能なポーランドへ行進中だった。私自身,この事件をユールンベルグ裁判まで知らなかった。私は,その当時,他の重要な事項で忙しすぎた。恐らくはヒンメルの責任だろう。

1939年のポーランドは,反動的な大佐と政治屋による独裁体制で,遅れているばかりでなく,十分な情報操作が行われていた。政府は,少数民族(ウクライナ人とユダヤ人)に対し非常に残忍で,自国民に対しても不正で欺瞞的であった。ミュンヘン危機のときも,ハイエナのようにチェコスロバキアに襲い掛かり,その国の最も厳しい時に,領土を割譲したのである。不細工に20年にわたり,ドイツとソ連を両てんびんにかけ,挙句には,実際にはニワトリのように弱弱しいにもかかわらず,主要な軍事国家のような言動を行った。民主主義国家が第二次世界大戦に参戦したのは,この反動的で,はったりを利かせ,偏狭な独裁を支援するためだったのである。その政府は,急速にかつ不名誉な空中分解を起し,永久に消えふせた。しかし,戦争は継続中であり,開戦理由は 直ぐに忘れ去れる意外になかった。しかしながら,いつの日にか,真摯な歴史家が,世界最大の戦争の促進を支配しているバカげた逆説を,再び適切に強調してくれるに違いない。

無能この最終的な不条理 惨憺たる世界的な闘争始める チェコスロバキア,1938年にイギリスによる裏切りを受けたが,戦わなかったので,戦争中に10万以下の人命しか失われなかった。ポーランドは,1939年にイギリスの支援を受けたが,戦ったので,600万もの人命の大部分が失われた(やく半数がユダヤ人であった)。両国とも,ソ連の踵の下で共産傀儡国家として終わった。どちらの政府が賢明であったか?大国が斃れるとき,小国は,どの方向の風が強うかろうとも,嵐の風に対しうまく身をかがめなければならない。ポーランドは,このことを忘れていたのである。

[英訳者によるコメント]-----アメリカ人の平均的な見解

読者は,ドイツによって侵略を受けた他の国を非難すりというドイツの慣習に留意するようにしなければならない。このコメントは,大部分のドイツの軍事文献がそうであるように,フォンルーン将軍の著作にも散見される。参謀本部で出世した将校たちは,他のことを考慮する能力を失っている。ルーンのポーランド政府と英国の補償の議論は,作戦コード名:ホワイトの前提も概論をつたえている。
------- ビクタ・ヘンリー

[訳者によるコメント]-----個人的見解

筆者は,ポーランドの独ソに対する二股外交(コウモリ外交)を痛烈に批判している。また,ポーランド政府が,2つの強国に挟まれた弱国であるにもかかわらず,あたかも周り以上の大国であるかのような大言壮語や振る舞いをおこなっていることも,同様に痛烈に批判している。日本は,現在,近隣の某国家の二股外交と大国であるとの思い込みの外交姿勢に辟易しているので,この批判は,至極当然と理解できる。相違は,日本は米国の現政権と緊密な関係にあるので,1939年のドイツのように,譲歩か戦争かを米国にせまられることない。しかしながら,米国の政権が威を借りた近隣の某国家よりになると,英国の威を借りたポーランドが全く譲歩を見せない強行姿勢であったのと同様に米国の威を借りた近隣の某国家が,日本に対して一方的に譲歩をせまることが十分に予想できる。2つの強国に挟まれた弱国は,そのコンプレックスのゆえ,根拠なしに自分を周りに対応しうる強国と思いたがる傾向があるである。

英訳者(ビクタ・ヘンリー,架空の人物)は,ドイツ側のポーランド政府への非難を不当なものとして見なしている。米国人は,2つの強国に挟まれた弱国の二股外交に悩まされることがないので,このことを理解することが難しいのであろう。日本人としては,米国が日本が近隣国の二股外交に悩まされていることを理解してもらえないことを自覚して,米国の外交関係を進める必要がある。

筆者は,文民であるヒトラが,参謀本部の作戦計画に容喙することを非常に嫌っている。これは,統帥権の独立と帷幄上奏権の確立に心血を注いできたプロシャ以来のドイツ参謀本部からすれば当然のことである。訳者から見てもヒトラの容喙は度が過ぎると思われる面も多々あるが,ヒトラならでの慧眼もあることは否定できない。しかしながら,ヒトラ政権下では,統帥権の独立がなかったので,統帥権の独立を理想と考える参謀本部の高級将校は,文民であるヒトラの容喙は,邪魔以外のなにものでもなっかたのであろう。これは,戦前,ドイツ式の参謀本部を採用した帝国陸軍を政府が統制できなかった日本人には,痛いほど理解できる。

英訳者(ビクタ・ヘンリー,架空の人物)は,”ドイツ参謀本部の将校たちは,他のことを考慮する能力を失っている”と批判しているが,これは,米国人の辞書には,統帥権の独立と帷幄上奏権という文字がなく,首相であるヒトラが政治的な観点から作戦に容喙することは至極当然としか思えないので,このようなドイツ参謀本部への批判となったと推測できる。

以上で,第1章の”作戦コード:ホワイト”(対ポーランド戦)の翻訳とコメントを完了する。次回から,第2章 座り込み戦争  //西部戦線の膠着とノルウェー戦// の翻訳とコメントを行う予定
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