料理の話じゃない、その１

　あまりに書くことがないので、ついに料理の話を書くのかと言うと、その通りなのだ。しかし、筆者は料理人でもないし、料理評論家でもないし、レストラン経営者でもないので、実際には料理の話は書けない。もちろん、筆者もクリエイティブなことを仕事にしたことのある人間の端くれなので料理はするのだ。その昔は「執事のレシピ知らず」という企画でレシピも持たずに和洋菓子に挑戦していたこともあったほどなのだ。
　自分も料理をするのだから、と、それだけの理由で料理の話を書いて面白いか、と、問われれば、それは面白くないことだろう。それは分かっているのだが、少し料理の話を書こうかと思う。そう言えば、筆者は「文章を書くことは料理を作ることと同じだと思う」と、しばしば言っている。その内容は「書き方講座初回補講」で聞いてもらうとして、どのように同じなのかについて書いてみようと思う。
　ただ、こんなスランプの最中なのだ。誰が読んでも面白い話など書きようがないし、もともとそんな面白いものも書いていないので、ここは、ちょっと、企画を変えて「たった一人しか面白くない」料理の話というのを書いてみようかと思う。たった一人。そのたった一人は、もちろん、サロンに関係して、なお、いくらかの文章を書いている人にしたい。
　当然のことだが、筆者のひねくれた性格を知っている人たちは、それが誰のことを書いたものなのか筆者が明かすはずのないことは予想していると思う。ただ、何のことを書いているのかは素直に分かるかと思う。
　では、はじめよう。
「料理の話じゃない」というタイトルで。