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2015年10月06日13:29

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原理主義的なキリスト教がマルクス主義に傾倒しなければいいが

■「極度の貧困」1割切る=30年まで撲滅へ前進―世銀見通し
(時事通信社 - 10月05日 05:01)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=4&from=diary&id=3647822

 絶対的貧困がなくなることはいいことですが,それに伴い,原理主義的なキリスト教がマルクス主義に傾倒する傾向がでてきます。十分に注意しなければなりません。

 今でも,一部のキリスト教徒がマルクス主義に傾倒する傾向があります。米国で勢力の伸長が著しいevangericalsと呼ばれている教派に顕著です。日本では,あまり知られていませんが,evangericalsは,メインラインと呼ばれている教派と比較して,原理主義に近い教派です。米国で,モンキートライアルを起こすのも,evangericalsです。

 穏健的な(メインラインに属する)教会とevangericalの教会とでは,貧困のとらえ方が異なります。この貧困のとらえ方の相違がが,マルクス主義に傾倒する/傾倒しないの相違を生じさせます。南米の発生したとされる「解放の神学」も,同じメカニズムによるのではないと推察しています。

 貧困は,大まかに下記の2つに分類することができます。

 相対的剥奪……現実の生活水準が主観的な期待水準よりも劣る状態。いわゆる搾取。
 絶対的貧困……最低限の生活を営むだけの食料や生活物資をが手に入れられない状態。

貧困を相対的剥奪としてとらえると,貧困を経済資源の不均衡分配とみなすことになるので,再分配を重視せざるをえなく,マルクス主義に近くなります。社会的な資源の再配分となるので,当然,政治問題となります。原理主義に近い教派が,政治活動に熱心になったり,左翼まがいの行動をとるのは,このためであると考えています。

 他方,穏健的な(メインラインに属する)教会が,取り組むべきと考えているのは,絶対的貧困のほうです。貧困対策のために,政治問題が絡む再分配には,注目しません。健康・医療水準の向上,識字率を高めるなどの教育により就業機会を拡大し,経済ピラミッドの最底辺にいる人の生活水準をいかに引き上げるかが鍵,いいかえれば富を作り出すことが鍵と考えるからです。経済的不平等は確かに問題かもしれないが,道徳的な課題は,以下に絶対的貧困を減らすか,屈辱的で非人道的な状況にいる人々の生活を向上させるか,と考えるからです。このアプローチですと,「カエサルのものはカエサルに,神のものは神のものに」というイエスに言われた政教分離にも合致します。

 さて,絶対的貧困を撲滅できないのは,経済発展を妨げる”罠”から脱出できないとされています。この”罠”は,内線/紛争,経済の優先事項をゆがめる天然資源,劣悪な統治などとされています。

 さて,ここからが私の考えです。経済発展を妨げる”罠”から脱出できないのは,形而上的な側面が重要ではないかと考えています。つまり,Maxweberが「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」で述べたような勤勉の哲学,「神は自ら助くる者を助く」という自助意識に変えないかぎり,経済発展を妨げる”罠”から脱出できないように思えてまりません。

 現在,マレーで出稼ぎをしています。よく,華僑系の人々が「マレー系は怠け者。だからいつまでたっても貧しい」といっています。私のみるところ,マレー系の人々を見ていると,日本人としては非常な怠け者に分類される私からみても「もうすこしなんとかならんか!」と思うことが少なくありません。ハングリ精神というか,向上意欲というか,そのもようなものが微塵もかんじられないからです。そのため,私生活では,華僑系およびインド系の人々と接することが多いです。

 このようなその日暮らしのような考え方では,いくら援助しても,「金持ちは喜捨をしても当然だ」ということになって,経済発展を妨げる”罠”から脱出できません。

 なお,余談ながら日本にあるキリスト教会は,圧倒的に米国の影響が大きいです。イギリス国教会系の聖公会も,日本では,聖ロカ病院および立教大学に代表されるように,米国聖公会系が主流です。カトリックも例外ではありません。

  原理主義的な傾向が強いevangericalsの代表格が,南部バプテストです。南部バプテストは,米国の北部の保守層からも警戒されます。余談ながら,この南部バプテストの日本支部というべきものが,日本の「バプティスト連盟」。「バプティスト連盟」に属する教会は,日本の中では,原理主義,排他的な傾向が強いようです。ある方は,エキュメニカル(ecumenical)な時代にもかかわらず,日本のバプテスト教会に行ったら聖餐に参加させてくれなかったと嘆いておられました。

 いま,物議をかもしているシールスの代表者の奥田氏の父親が,北九州で牧師をしている教会も,この「バプティスト連盟」の教会です。他の教派のことを悪くいうのは慎まなければなりませんが,正直言って

「私たちの国籍は天にあり」

は,原理主義的な色彩の強い南部バプテストの言いそうなことだと思いました。

このように,絶対的貧困がなくなることはいいことですが,それに伴い,原理主義的なキリスト教がマルクス主義に傾倒する傾向がでてきます。

 念のためのに申し上げますと,北部の穏健的な(メインラインに属する)バプティスト教会は,米バプティスト教会USA。日本支部にあたるのは,「バプティスト連合」。なお,近年,原理主義の傾向を強めている米国の南部バプテスト連盟は,世界バプテスト連盟から脱退しています(2004年6月16日の年次総会)。


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