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2021年10月01日16:54

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生涯編集者、その3

 編集者とそうでない人の大きな違いは、テーマを持つか持たないかにある。どんなつまらないことにも編集者はテーマを見出す。家を出て駅まで歩く、それにも編集者はテーマを作る。今日は、アニメソングのみを頭の中で歌うとか、今日は読めない表札の苗字をメモするとか、誰にも気づかれないように、こっそり左手でチョキを出し続けるとか。
 これがレジャーや旅行になれば、いっそうテーマに拘る。
 ただ観光地に寺院を見に行くとか、滝を見に行くとか、洞窟を探検に行くとか、断崖絶壁を登りに行くというようなことはしない。コーヒーを飲むのに相応しい場所探しの旅とか、観光地の地元の人の行く居酒屋巡りとか、本を置きたい風景とか、ミステリーはここからはじまったとか。テーマを考え、テーマによって行先を決め、テーマに沿って行動する。それが編集者なのだ。
 ただし、テーマはあればいいというものではない。筆者の友人の編集者で「立ちションするならこんな場所」というテーマで旅行していたバカがいた。迷惑な話である。別のバカは「食い逃げグルメ」という企画を勝手にやっていた。もちろん、たいていの編集者は臆病であるから、実際に食い逃げなどしない。ただ、どういうスキに逃げるか、逃げやすい席はどこか、店を出てどのルートで逃げるのが安全か、と、その詳細をメモしているのだ。普通に「美味しい」では、つまらないのが編集者というものだからなのだ。
 そういえば筆者には教養がないと信じている人がいる。教養のある人にかぎって騙される傾向にあるようだ。筆者には高い教養がある。ただ、筆者は人生のテーマとして、教養を隠し通すということをしているだけなのだ。これは人生のテーマなので生涯続けるつもりだ。編集者だから。
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