《映画》ジャン・ヴィゴ監督コンプリート

平成最後の1月2日。そして、今日は平成最後の駅伝往路。
青学断然の前評判が箱根の興味を少しだけ落としているが、1区から目が離せない。
スタートで転倒した大東大選手には一気に判官びいきの歓声が上がり、1区から留学生を起用した東京国際大学に対しては、2位集団に乗り込まれると拍手が起こりテレビ馬のヒール役を終える。
続いて日大と拓大のテレビ馬が2区から飛び出していく。勝手にしやがれ。
大東大と足が引っ掛かったのは日体大。これが日大ならあれだけど−略−（と、全世界の日大OBを敵に回してみる）。
競輪ならスタート転倒は「やり直し」となるのだが、箱根駅伝はダメらしい。
監督が選手に「走れるなら右手を挙げてくれ」と沿道から声をあげたが、選手はダメでも右手を挙げる。今後の彼のランナー人生に悪影響がありませんように。きっと大丈夫。

映画レヴュー
2019年の正月も映画館からのスタート。
渋谷シアターイメージフォーラムでは、1934年に29歳で早逝したフランス人映画監督、ジャン・ヴィゴのイッキミ特集。
イッキミといっても、ライフワークは長編映画1本、短編3本とわずか4本。
ジェ―ムス・ディーンよりも1本多いのみ。

004『アタラント号』（1934年）★5．
2019年初の★5．満点評価作。鑑賞後は★4.5かな、なんて感じていたけど、じわじわ拡がる作品の評価。ついには夢にまで出てきたいくつかのシーンに朝、目が覚めたらおいらの海馬には★5．を啓示されていた。

どうみても伊藤雄之助しか見えない副艦のおっさん、彼にしがみつく猫。
彼は横浜港に寄って大きな扇子を買っている。そんなシーンはスクリーンには一切出てこないが、きっと伊藤雄之助がエスコートしたに違いないのだ。

フランスはパリ以外はすべて田舎。と、どこかのガイドブックに書かれていた。
結婚することで自分に自由がなくなることをどこまで理解していたのだろうか。
田舎町しか知らない彼女がパリの華やかさに触れた時、鳥かごから飛び立ったザックのように、小さな羽根を広げて、大きな世界へと迷い込んだ。

多くの映画マニアは本作を傑作という。
それなら、おいらも映画マニアの片隅に潜ませていただこう。
ジャン・ヴィゴの命を削って作られたマスターピース。
彼が病に倒れなければ、どれほどの傑作が作られていたのだろうか。
その生き様、まるでスーラのようだ。


003『新学期操行ゼロ』（1933年：44分）★4.5
《４Kレストア》のお陰で過去の名作がストレスなくピカピカの映像で愉しむことができる。フランス映画社・ゴーモンはヴィゴのフィルム作品すべてにこの処理を施し、DVD化してくれている。
本作は40年前に新宿の自主映画スタジオで上映されたフィルム作品を鑑賞している。
ストーリーに記憶がないが、それだけインパクトのある題名『操行ゼロ』。
週6日寄宿舎に缶詰の中学生たちが、唯一外出できる日曜日。
授業中の態度などで教師から「操行ゼロだ！」と告げられると、その週の日曜日は外出不可という罰則。
印象的なマクラ投げのシーンは40年前、中学3年生だった当時にさえ、観た記憶が残っている。なるほど、こんな映画だったのか。
『アタランテ号』とともに、新年初鑑賞はパーフェクト過ぎるスタートだ。


001『ニースについて』（1930年：23分）★１．
ヴィゴ監督デヴュー作。ベタ褒めの3作目、4作目とは大きく評価を落とし★１つ。
それどころか、わずか23分の短編映画なれど、15分は船を漕いでいた。
これが2019年第1作目の鑑賞作品。一体どうなるかと思ったが、それは杞憂に終わる。
とにかく、この映画もどきを観たことは忘れてしまいたい。
忘れたいが、そもそも寝落ちしていたのだから覚えていない。


002『競泳選手 ジャン・タリス』（1931年：10分）★3．
ヴィゴ監督2作品目は映画というよりもニュース映画。
フランス水泳界のトップスター選手のドキュメンタリーを10分間、ただのドキュメントではなく多種多様な映像手法で近代映画へのくさびを打つ。
おいらも週末のスイミング初めで、ジャン・タリス選手のターン技術を模倣しよう。

大東大・新井転倒　スタートで前代未聞アクシデント
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=8&from=diary&id=5442496