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2019年05月14日10:50

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柴田元幸さんのトークイベント

 昨日、銀座シックスにある蔦屋書店で開催されたイベントに参加した。
 翻訳家・柴田元幸さんのトークイベント『本当の翻訳の話をしよう』である。村上春樹さんとの共著『本当の翻訳の話をしよう』の刊行記念イベントで、先着五十名の枠に運よくはいれたのだ。
 村上さんとの共著なので、もしかしたら村上さんも飛び入り参加されるのではないかと期待している参加者も多いと予想したのだろう(ぼくもその一人だ)、柴田さんは冒頭、「今回のイベントに“もう一人”は来ません。ぼく一人です」と言って会場をなごませた。
 そして村上さんのことを語った。
 柴田さんは、デビューして間もないころの村上さんが朝日新聞に書いたスコット・フィッツジェラルドについてのエッセイ(おそらく一九八〇年十一月十二日夕刊に掲載された「フィッツジェラルドの魅力−自分の精神を映す鏡 書くことの姿勢を学ぶ」だと思われる)を読んで、
「この人は世間の評価に流されず、自分の考えでやっていく人なんだな」
 と思ったと言った。
 というのも、当時のフィッツジェラルドには「過去の人」という風潮があったかららしい。村上さんのエッセイにはそうした視点はなかったということなのだろう。
 そして柴田さんは、村上さんのことを「一匹狼を嗅ぎわける能力に長けているなあと思っている」と加えた。
 そのあと、このイベントのために訳したというフィッツジェラルドの短編『真珠と毛皮』を約四十分にわたって身振り手振りで朗読した。訳すのにずいぶん時間がかかったんじゃないかと思ったが、ほとんど一晩で訳したそうだ。脱帽。
 最後はサイン会。アカデミックなひと時だった。
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