公開二日目の二十日に『ハナレイ・ベイ』を鑑賞した。ユナイテッドシネマ入間は十三時三十分の回で観客は約二十人。さびしいもんだ。
それはともかく、映画は原作の良さを生かすことに成功していた。そして原作の邪魔にならない程度に味つけがしてある点は『トニー滝谷』に通じるところがあった。村上作品の映画化に『ハナレイ・ベイ』は実にいい選択だったと思う。そしてぼくが敬愛する増村保造が言った、
「長編小説の映画化はダイジェスト版になりがちだが、短編だと監督の考えが入り込む余地があって良いものが出来ることがある」
という言葉が、また実証された。
翌日の夜は「村上Radio」第二弾の放送があった。また村上さんの声が聞けてうれしいのだが、一つ気にかかっていたことがあった。番組サイトにこう記されていたのだ。
「それからいろいろとお話ししなくてはならないこともあります」
村上主義者なら誰もが、ノーベル文学賞や今年だけの代わりの賞のことなんかを語るのではないかと想像したはずだ。「何も深刻な話じゃありません」と続いてはいるが、ファンの想像をかき立ててやまない改まった一文だった。
しかし放送の中でそれに該当する発言はなかった。ファンからの質問に答えたり音楽に関する思い出話を語ったり、番組自体はとても楽しい放送だったが、本当にまったく深刻じゃない話に終始し、なんだか拍子抜けしてしまった。
写真はモジョの「里いもチーズもち」(写真ではおいしさが伝わらないのが残念)とモンブラン。
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