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日記一覧

詩『帰省』
2014年12月28日13:11

年末の満タンの汽車の中はタバコとナフタリンと金属が焼けるような暖房の匂い腰から下ばかりの景色がきゅうくつでひとりひとつの受け持ちバッグに僕はうんこ座りでつかまっていた突きだしたアゴを左にずらしてもさもさズボンをとおり抜けたとおい目を冬には用

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題目『きらめきながら去りゆく君よ』題目が長いのでここから出ようと振り返り、ふと出口のガラスを突き抜けてくる夕刻の色建物の影は長く明と暗との境界がハッキリと斜めに切れている山の向こうに陽が沈めば街灯のあかりを取り込んだ鳶色の瞳がきらめきその奥

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詩『砂時計』
2014年12月23日16:27

小袋にこめられた砂時計夜の凪をさかさに游ぐさかなは進み化す体のしるべを辿り望月の子守唄をききながら眠る新世界へのトンネルを抜け白く眩しい光の中でさかなは天地を返され水から抜けだした痛みに泣く砂時計は時を落としはじめる空にさらされた太陽の世界

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詩『凡脳』
2014年12月22日14:26

読めないし、見えないし、聴けない体の芯を震わせる信号はアナフィラキシーによって増幅される農夫は頭蓋骨に侵入するたび種をまき、水をかけ、肥料をやる育つ苗にそって道ができ門が現れ悠々と収穫にいそしむ私の農場にはまだケモノ道が幾つか中には農夫でな

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詩『十字架』
2014年12月21日12:57

俺をストーカーがつけ狙うfun、fun、赤く追ってくる信号もレッドだけが光りとりあえず面白くないタバコにturboを近づけながら完全無視することにすればカーチェイスの主人公が間一髪でthroughand後続車のポリスはcrash!になる確率は嘘っぱち映画のテレフォン

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詩『帰路〜開放』
2014年12月20日12:39

真夜中のはずなのに空は地上に近づくほど明るいので連なった山がこちらに飛び出していて麓から随分はなれているのに暗い夜道が山の斜面のようでだから重力にさからって斜めに立っている私は富士山より高く急な山を見上げていて風の冷たさに手をこすり合わせる

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詩『水無川』
2014年12月19日14:09

田舎の丘の伯父の家からやっと戻ったベッドの上で仕入れて来た顔が閉じた目に開かれる。ぞろぞろと溢れる笑みのかずとオセロは裏返しの泣きのかず。従姉のネエさんののっぺらぼうに三十五年ぶりの顔が真ん中にハマる。しかめっ面の叔父はだれとでも犬猿。ヤン

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詩『愛の歌』
2014年12月15日13:38

あなたは風に花びらをたおやかにからませ実をむすぶつめこんだすべてを地におろし月に日にしおれてもなお風に舞う冬のちかづく秋の日に風は力をなくして空へゆくただなんとなく秋は記憶の行きつく先であなたは風といつまでもたわむれて冬を白くかすませて

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徒然「猿の夢」
2014年12月14日19:11

私はもしかすると、想像力が豊かであるばかりにボスになろうとしてボスの威嚇の凄さの前に縮こまりボコボコにされ群を追いだされた弱っちい猿で、以前想像したものとは全く違うみじめな己の不甲斐なさに気づきジャングルのはずれにあるサバンナを流れる川で入

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詩『冬の舗道』
2014年12月13日13:37

ひとひらの風花頬に触れたと思えば雫にやはり、と冬を知り切れ間のない灰の空咳ひとつに俯いてこじれるか、と風邪にもまれる車に乗りこんだ足先が冷たさに痺れはじめる辻の水たまりは深さをなくしかろうじて空を凹凸にはね返す住宅地の通りには人影がない電飾

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詩『さくら折る馬鹿』
2014年12月09日11:50

春高楼の花の宴名曲、が迷惑になり果てる観光地のスピーカー、を鳴らし勝手に安っぽいニセモノの演出、に満足する土産物屋のオヤジ、は煙草を吸いながら独り、ヒマを持て余している雨あがりのさくらは黒子のように花びらでいっぱいの枝を持ち上げていてコント

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詩『鬼ごっこー2014』
2014年12月06日15:00

虎落笛かさなり空は漠として雲を東に流す視界を遠のいていく人間どもの背中が鬼の脳髄を突き刺してさそうひとつ、ふたつ、みつ、 焦りよつ、いつつ、むつ、 不安やつ、ななつ、ここのつ、 悦びとう。両のまなこは冷ややかに開き解き放たれた本能が片頬を膨

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詩『星座』
2014年12月05日00:14

うす暗い街灯に映しだされた 葉裏のみどりを背にして 黒い二つの水晶体そのものが 私に煌めきを放っている 深い宇宙に偽りはなく 愛という天秤では測りきれない 彼方からあらわれた彗星が すれ違いざまに引き合っただけ あの時流れおちた涙は 流星群にまぎれ

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詩『AKIRAー忍法帖外伝』
2014年12月02日18:58

忍びであろうが寒いものは寒い十二月を師走と言うらしいが師匠も走って逃げるほどの寒さ ふるさと寒く衣打つなりとはよく言ったものだ田舎は風が強くて衣が音を立てている仲間は皆やられてしまったしかし行かねばなるまい陽が沈みかけている高さが四尺ほどの

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詩『療養』
2014年12月01日22:08

処置室の方で唸り声叫んでいる老人ダレカを傲慢に呼んでいるナニカに怖れ戦いている彼の過去に何があったのかあるいは今、何を見ているのか 父を見送ったのは一年前 両親に最期の時間を 幸せに過ごしてもらうよう奔走したのは 私のためであった 父がいな

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