mixiユーザー(id:60260068)

2014年12月22日14:26

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詩『凡脳』


読めないし、見えないし、聴けない

体の芯を震わせる信号は
アナフィラキシーによって増幅される

農夫は頭蓋骨に侵入するたび
種をまき、水をかけ、肥料をやる
育つ苗にそって道ができ門が現れ
悠々と収穫にいそしむ

私の農場にはまだケモノ道が幾つか
中には農夫でない者が踏み荒らし
畑なのか荒地なのか分からない

よその畑から仕入れた苗は
作物だろうか雑草だろうか
やせ細って青白く枯れかかっていて
それでも良薬口に苦しと噛みしだく

時折その一本に
幻覚のように現れる記憶を
スリットからのぞき見るとき
開放された世界の中心に輝く太陽が
私の道に曖昧な影をみせる

門をこじ開けるしかない凡人は
小さな発作を繰り返しながら
声をあげ、目をひらき、耳をすまして
薄暗い頭蓋骨の中で土にまみれている



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