木々のざわめきを背に時雨れる蝉の声真っ青な空に立ち上がる入道雲荒々しく突き出る岩の間におそるおそる沢の水はつめたくて、差しこんだ足首から私は超合金のロボットに変身した操縦士のアキラはこの非常事態に遭遇し必要以上に痛がっている(クゥゥ、ま、負
ブラック珈琲の缶は黒くて格好いいわざわざ「無糖」と言い張っているのだから珈琲そのものなのだろうと思えばキレ味を追究しているらしい あなた最近ちょっと太ったんじゃない? そんな事ないだろう じゃあ、そのお腹の膨らみは? え?そう? ほら、
階段下の小さな三角空間を俺のトゲトゲの隙間へはめ込み工房の神経質な照明を追いやる 冷たいペットボトルを掴んであごを上げギザギザの明暗に抽象絵画を刻みながらあぶくの弾ける様をながめる硬直した気体を濁ったお茶で押し出せばあやふやな不健康が欲しく
ゆるり沈んでいく夢への道すがら響いてくる囁き声に連れもどされたところ愛する人がそばにいてくれる幸せを月明かりに浮かぶ温かな横顔に感じつつまた、ゆるり夜空を游ぐように、すべるように こちらを向いた満月は唇にふれ 心地よさに声はもれる はじけたあ
集配を一件残していたので、夜の七時をまわった頃に店を出ると、終業後のお迎えを待つ向かいの店の奥さんの後ろ姿に出くわした。私は道を渡りながら挨拶をした。振り向いて見せた笑顔は、夜の街が発するやわらかな光に照らされて少し輝いて見えた。随分前にご
[はじまり]0からは何も生まれないのではなく 0こそが起源だとすると、 あるいは、0というものはあり得ず、存在しないということが限りなく小さいことであるとすることを仮に0とするなら、 0は、あらゆる座標を産み出す原点の素粒子ということではない
歩道に高くならんだ縁石を君はたわむれの平均台にしてスカートの黒にうつろう時をはらませ僕の前で軽やかに羽ばたいていた足元の升目はひややかに過ぎゆき張りつめた視線はねじれてすれ違った君がこしらえた手編みのセーターは僕には大きすぎたようだ深く澄ん
楠のかたぶきゆく日に照り映えて 我が身尽くせど色はあたらず名歌のようにはいきませんが嗚呼無情的に
あなたへ愛をいちばん ちかく にいるあなたへ愛を 貴女に恋して 貴方に恋して これから始まる愛を 貴女に注ぐ 初めての愛を 私は受けるちかく にいても気づかないあなたの愛は あなたの貴女に届けられわたしは ちかく て とおすぎて