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2014年12月19日14:09

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詩『水無川』


田舎の丘の伯父の家から
やっと戻ったベッドの上で
仕入れて来た顔が閉じた目に開かれる。
ぞろぞろと溢れる笑みのかずと
オセロは裏返しの泣きのかず。

従姉のネエさんののっぺらぼうに
三十五年ぶりの顔が真ん中にハマる。

しかめっ面の叔父はだれとでも犬猿。

ヤンキーな従兄のてっぺんの髪はうすれ
眉毛に伸びて好々爺方面へ。

全ての家で末っ子を兼任する従弟の
ハデな笑顔のまぶたは山盛りに腫れている。

私は末席でコーラとおにぎりで過ごす。

一番うるさいはずの伯父の顔は
白い甕の中で神妙におさまって
線香が自由に舞っている。

どアップの伯母さんの瞳は
円らな黒い水晶のようで
澄んだ水の流れが水無川のように
皺の中で消えたり現れたり。



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