そよ風色を身に巻いてまだ咲かぬ満開のサクラのじゅうたんを「彼」とふたり高いところから覗いてみようかそれとなく太陽がまぶしいふりで「彼女」と腕ぐみ自動車は小川のように国道わきは森林浴空、あしたの方まで青く道、どこまでも春
『生の連鎖 』/SHIRIAI(過去のペンネーム)オモイ、オモイ、地ノ底ニアカイ、アカイ、血ガ滾ルシノブ、モグル、人知レズ連ナル鎖ハ合ワセ鏡ノ様ニ嵩を増す流れが光を求める岩盤に遮られ行き場をなくした血は充ちる膨らむ力が限界点を越える瞬間閉ざされた岩盤
あなたの顔は罠であった恋する瞳はわたしを夢へといざない青い空の光を放っていたか細くのびた鼻はわたしを唇から遠ざけ別世界で息をしていたその唇は大気圏に守られていた近づけばあなたの顔は罠であった
私の二枚の掌にはさまれているうすっぺらな頭骸骨がこぼれないように抱えているのはこの身に知らされるすべての世界もっと世界が小さかった頃真っ暗な宇宙にかこまれ枕に押しつけられた世界がひとつこっそり光る星を背にして消滅へとむかうトンネルをくぐり抜
guitar や お金儲け 詩作 り カラオケ旅行 た い cinéma 携帯ゲーム こ と ぼんやりがたくさんあり過ぎるから時間のあちこちから溢れでて飛びこんだ選択機のうずの中を時お
『騒音』160313ワンルームテレビが左の窓から無神経に忍びこむ0時はとっくに過ぎている右の窓からは国道の合奏黒くて見えない床の下でゆるやかに跳ねるように心臓両窓から、否、部屋の中壁からあるいは部屋の中心から針の穴を通るハウリング地面の土が死んで
紙面をドミノのように倒れ詩の言葉がこぼれれば古巣の胸にふたたび帰り過ぎた日の匂いが頬をなぞる張りつめたかぼそい糸はモヤに包まれたまま音もなく共鳴してひとり耳もとをたしかに声否、鼓膜にきざまれた音ふるえつづける
苔むしてはいるが今も忘れたころに流れいづる感嘆の旋律凪の水たまりがやっと空を映しはじめたころふり返れば波紋をひろげながら光を混ぜあわせもとの星きらめく水面へと
《空へ落ちる》すべり台のてっぺんで辺りを見わたして気づいたわたしは宇宙の地面から少しだけはみ出ているのだと