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日記一覧

『女子高生』
2014年02月28日15:48

自転車で向かい風をこしらえてチェック柄のスカートをはらませるまだ固い空に黒髪をほどいて踊らせて耳にそよぐ何のへんてつもない日常に夢の明日を歌うヘッドホンを添えて交差点からの景色を開きながら時のトンネルをくぐり抜けていく

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『春へ』
2014年02月26日18:47

 か細い指先を広げ やわらかくなった空にふれさせて おまえは何かを掴もうとしている高速道脇に葉を茂らせていない木々がある。その姿は寒々しくもあるのだが、毛細血管のようにのびた細い枝と枝の間の空が微かに白くかすんでいる。このところの陽気に、枝

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[私と詩は隣り合わせ]
2014年02月26日15:05

私の最近の詩を読み返して、薄いなあ、と感じた。或サイトで或人に、もったいない、とか、そうありたい、とか不思議な事を言われた。赤裸々に綴り、駄作も良作も何でも投稿するのは、裸を見せるというよりも体の毛を全部抜いて晒しているようだということらし

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君は、物は何でも手前からむこうを向いていないと気がすまないようだね。 たしかに、玄関のくつ アパートの駐車場の車 なるほど、まつ毛の先 帽子のつば、鉛筆 君は、僕の助手席で、うつらうつら。右に曲がる時、窓ガラスに頭をぶつけ、「は、」左に曲が

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不思議ですね、記憶というものは。この世に産まれてから、私が覚えている最初の記憶では、母に手を引かれている私が、今思い出している私の方を向いているのです。それは、幼い私の眼で見た景色ではなく、姉を幼稚園に迎えに来た母と息子の姿としての映像を、

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『微妙』
2014年02月24日03:49

時々ウサギはライオンになるらしいんだがね、ああ。ぴょんぴょん跳ねるウサギが、なぁんで、ライオンなのかねぇ?昼飯食ってたら、なんてこったい、こいつぁ、おいらの姉ちゃんじゃあねぇか、みたいな。その昔、キリンの首は短かった、なぁんて話、信じるかい

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『恋闇』
2014年02月24日01:41

溢れかえるほどの血をおくり押し潰されそうな苦しさを与えそこから逃げよと言わんばかりに恋女に向かわせようとする者よこの孤独な静寂に閉じこめられた男に今、何が出来ると言うのだ満月の夜に吠える犬の哀しい調べがうつ伏せでうずくまる耳をこじ開け食い縛

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『消ゴム』
2014年02月20日18:15

僕は頭蓋骨の中に生きていた。教室を走り回っている少年達は、虫か何かの子供だった。僕は目蓋が開いていて、そこから、分別のない振る舞いと、少年達の脳ミソとを冷ややかに関連づけていた。「ケシ貸して」と日焼け顔が言う。僕は、「ちゃんと返してね」と言

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『刹那』
2014年02月20日04:26

滑らかな曲面を月明かりが遠浅の影で濡らし吹き寄せる潮風は甘い薫りをはらんでかすかに震えるさえずりと共に紅潮した私の耳をかすめる青い石をうずめていた筈の砂をしだいに満ちた凪の海がさらう 長い時の流れに美しく研かれた石にやわらかく映りこむ炎を燃

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『凸と凹』
2014年02月19日04:06

エッチなことを考えることと美しいものを見ることとは隣りあわせで座る双子のようです双子に言わせれば、似ていないと怒り 性格が違うと思えば、DNAは同じだそうで恋はエッチのファンファーレエッチは愛のコンツェルト仕掛けられた桃色のワナにかかる凸と凹

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『一粒』
2014年02月17日03:29

肥沃な土に愛された、あなた空に見捨てられ落ちる、わたしみずみずしく緑を広げるあなたのためにあなたをめがけて風よ、吹かないでやっと見つけたわたしの命このままあなたの足もとへ たった一粒のわたしいじわるなそよ風にわたしはあなたの掌に落ちる砕けな

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『おもい』
2014年02月16日00:47

「詩」って何なんですか、と馬鹿な質問をしたくなっているところ。音楽、絵画だって広い意味では「詩」と言えるだろう。狭い意味で言えば、「この薄っぺらな紙一枚で人になにがしかの感動を覚えさせろ」ってもんだろうと思う。白い紙切れがちょっと鉛筆の粉で

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『軌跡』
2014年02月15日17:09

すれちがう そよ風のあいだに かすかな つむじ風がうまれる 気づかないうち ふたつは引き寄せられ それぞれが大きな弧を描いて また元へもどる つむじ風はおおきくなり つぎに出会うまでの無限大の時のなかで いつかひとつになる夢を見ながら 美しく回りづづ

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『かげろう』
2014年02月09日13:09

月影を鏡にうつす湖面から静寂の膜をほどいて現れるかげろう闇を透かした翅のはかない脈が 夢の岸に立つ私をやさしく捕らえる隙間からこぼれた雫は冷たい湖面をたたき金色の張りつめた弦をふるわせる星空の隅で林がざわめき始めた風が湖は漣にみたされしだい

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青く光る深い空にしっかりと抱かれた白い雲 強い日差しが夏を彩り濃い緑が記憶を縁どっている私はあなたを待ちながら目を細めまぶしい雲の流れをながめている手をふるあなたが見える私の名前を呼びながら空いっばいの笑みで輝く大空のように腕を広げ私の胸を

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『暁の鐘2』
2014年02月07日22:57

時代を踏みにじる足音が地の底に絶えず響いている少年は崩れた日常の足もとを走る目に浮かぶ悪戯な笑顔にむかって帰る、と言う親はこの戦争に呑まれた故郷という場所はあるがぬくもりの記憶は土ぼこりに埋まり燃えのこった過去が風に吹かれるばかり少年は新し

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