ひとひらの風花
頬に触れたと思えば雫に
やはり、と冬を知り
切れ間のない灰の空
咳ひとつに俯いて
こじれるか、と風邪にもまれる
車に乗りこんだ足先が
冷たさに痺れはじめる
辻の水たまりは深さをなくし
かろうじて空を凹凸にはね返す
住宅地の通りには人影がない
電飾コードを巻かれた庭木は
静粛に夜を待っている
エアコンの音に少しずつ
暖気が混ざってきた
アスファルト面がまだら模様
歩道をいく金髪が肩をすぼめ
つくり笑顔のコンビニにむかっている
ウインカーの音が突出する
通勤の道はどこまでも固く重い
足の痺れに熱さがまじる
エアコンをゆるめて窓をあけ
軽い煙草に火をつけた
ログインしてコメントを確認・投稿する