mixiユーザー(id:60260068)

2014年12月20日12:39

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詩『帰路〜開放』


真夜中のはずなのに
空は地上に近づくほど明るいので
連なった山がこちらに飛び出していて
麓から随分はなれているのに
暗い夜道が山の斜面のようで
だから重力にさからって
斜めに立っている私は
富士山より高く急な山を見上げていて
風の冷たさに手をこすり合わせると
ハエ
ハエのように地面にくっついていて
山の崖でさえ難なくてくてく歩いて
頂上までたどり着くまでに
透明なハネが背中に生えているから
プーンと空へ
いや
どうせならトンボがいい
ビーンと空へ
しずかなヘリコプターで山を越えるとき
尾根から湧き上がるすり鉢状の街の夜景
あなたも連れて来ればよかった
ああ、あなたは笑顔の半月になって
二人のハネが少しだけ触れたり離れたり
あのチカチカ光る鉄塔の山は遠いから
この辺で
ちょっと風も強いし
そろそろ帰ろうか
あなたが待ってる



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